ハンバーガーショップで有名なシェイクシャックの株価は2019年夏場まで絶好調でした。しかし、最近はかなり下げてきています。
この下落は夏以降から始まっていますが、2019年7-9月期(3Q)決算の発表後は13%を超える急落もありました。
「なんで、こんなに株価が下がっているのか」と思っている方も多いかも知れません。この記事では、直近の決算を振り返って、シェイクシャックの株価が低迷している原因にスポットライトを当てていきたいと思います。
この記事のポイントはこちらです。
- 既存店舗の売上成長率が下がっていることが株価下落の原因。
- 既存店舗の売上成長率は2019年4-6月期+3.6%に対して、7-9月期は+2%にまで減少。2019年通期見通しも1.5%と低調。
- 既存店売上成長率の鈍化の要因は、出前サービスの会社をGrubHub1社に集約する移行段階での売上減少
既存店売上の伸びが鈍化したシェイクシャック
株価が急落したシェイクシャックの2019年3Q決算を振りかえります。やはり既存店売上が大きくアナリスト予想を外している点が非常に悪い印象を与えています。
- 一株利益:20セントの予想を上回る26セント。
- 収益:1億5790万ドルの予想をわずかに下回る1億5780万ドル(前年比31.9%)。
- 既存店売上:前年比+2.9%予想を下回る+2.0%成長。
まず、利益は問題ありません。売上も予想をわずかに下回ったものの、前年比+31.9%で伸びているのはさすがです。以下のスライドには、近年のシェイクシャックの成長を表していますが、どれも成長率に問題はなさそうです。
ちなみに、シェイクシャックの指標は”System-wide Shack Count”とか、一見するとわかりにくいので、以下に補足をしておきます。その他、既存店売上はSame-Shake Saleと言ったり、とにかく用語が個性的です。
- Total Revenue:シェイクシャックの企業に入ってくる収益(ライセンス店舗からは総売上ではなくライセンス料が計上)
- System-wide Sales:シェイクシャック直営店、国内外のライセンス店、全ての総売上
- System-wide Shack Count:シェイクシャック直営店、国内外のライセンス店の総店舗数
- Cash Flow from Operations:営業キャッシュフロー
話は脱線しましたが、株価の下落は出店数や総売上の成長率ではなく、大幅に予想を下回った既存店売上のようです。
既存店売上低迷の原因は、配達サービス集約化
そうなると、なぜ既存店売上が低迷しているのかが気になるところです。これに対して、シェイクシャックは、出前サービスの集約化の移行期間中で、売上が減少しているといいます。
日本では最近、Uber Eatsが有名になって来ましたが、アメリカではUber以外にも様々な出前配達サービスがあります。今までシェイクシャックは直近の2年間ほどGrubhub, Doordash, Caviar, Postmatesの4社の配達サービスを使って、出前を届けていましたが、2019年8月にGrubhubと提携を発表して、1社に集約することを発表しています。
Grubhub1社に絞って、柔軟にカスタマイズが可能でタイムリーに届けられる配達を目指しているとのことなのですが、移行期間中の現時点では4社から1社に配達サービスが減ることで、売上で負の側面が出てしまっているようです。
既存店売上ガイダンスも引き下げ
シェイクシャックの株価が大きく下がったのは、2019年の既存店売上成長率のガイダンスも引き下げも影響しているかも知れません。
2019年通期 | 既存店売上 |
---|---|
従来ガイダンス | 2% |
新規ガイダンス | 1.5% |
前期まで+3.6の既存店売上成長率を見せていて、喜んでいた時期が懐かしいです。しばらく配達の売上が安定するまでは、シェイクシャックの株価も苦戦する可能性があります。
ただ一方で、シェイクシャックは成長の伸びしろが大きな企業なので、長期的には投資しがいがある企業だと思っています。実にじっくりと成長している会社で全世界でもまだ254店舗く、成長余地は大きいです。
なので、配達サービスの低迷に付き合いながら、長い目でこの株を見てきたいと思っています。
(この記事で参照した決算書はこちらからダウンロードできます)