米国株は景気とは無関係に上昇している、わけではない。

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2020年4月以降、「景気が悪いのに、米国株は早々上昇して、動きが乖離している」と言われたり、「コロナの第2波や第3波の流行が来ても、株は関係なしに上昇している」と言われるようになりました。

米国株が上昇している理由は、アメリカ中央銀行と政府が大量なドルを市場と経済にバラまいているからというのは、既に以下の記事で話したとおりです。

この記事で追加で考えていくのは、本当に株は景気やコロナの流行に無関係に上昇を続けているのかという点です。

S&P500は一見すると第2波や第3波の流行が来ても無関係に上昇しているように見えますが、ドルの価値が低下している影響を取り除くと、コロナの流行に敏感に反応して株価は下落しているようです。

価値を測るものさしのドルが下落してるせいで、その動きが見えにくくなっているだけで、株価は景気に無関係に上昇しているわけではなさそうです。

この記事のポイント

  • 米国株S&P500は、景気低迷やコロナの流行に関係なく上昇を続けて、歴代最高値を更新して絶好調のように見える。
  • しかし、ゴールドの価格を基準にしてS&P500の価格を確認すると、まだまだ株価はコロナ前の水準を回復していない。コロナ流行拡大時では、ゴールドに対して S&P500はちゃんと下落している。
  • この見え方の違いには、ドルの価値低下がある。大量にバラまかれているドルで価値を測ろうとすると、株の動きを見失う恐れがある。

一見すると2020年の不況でも米国株S&P500は好調だった。

2020年はアメリカも景気が大きく落ち込みましたが、米国株S&P500は終わってみたら歴代最高値を更新する好調さを維持しました。

歴代最高値をつけて上昇する S&P500

上のグラフで、少し注目なのはコロナの感染拡大の第2波や第3波が来ても、米国株は上昇を続けている点です。

なので、一見すると景気の低迷やコロナ感染の再拡大に関係なく米国株は上昇しているように見ます。

ゴールドの価格を基準に米国株の価格を調べてみる

しかし、本当に景気の低迷やコロナに関係なく米国株は上昇しているのでしょうか。

気をつけたいのは、米国株はドルで価格がついているので、価値の”ものさし”のドルが安くなれば、株価が上昇して見えてしまう点です。

2019年6月の利下げ宣言以降、金融緩和が進んでドルの価値は下がりやすくなっている上に、 2020年にはドルを大量に印刷してバラまいているので、ドルの価値低下の影響を取り除いてS&P500の価格をみる必要があります。

調べ方は簡単で、S&P500の価格をそのときのゴールドの価格を割り算してあげるだけです。これなら、ゴールド(1トロイオンス)を基準にしたS&P500の株価を調べることができ、ドルの影響を取り去ることができます。

(S&P500)÷(ゴールド)の値を過去3年間でグラフ化したものが以下になります。

2018年以降の(S&P500)÷(ゴールド)の値


出典:FRED

ここで興味深いのは、ゴールドを基準にすると(ドルの価値低下の影響をなくすと)S&P500はコロナ前の水準にまだ戻っていないことです。この動きは、まだコロナ前の景気に回復していないアメリカ経済の動きとよく似ています。

また、コロナの第2波、第3波などの景気悪化イベントに対しても、ゴールドを基準にした株の価値は下落していることがわかります。

2018年以降の(S&P500)÷(ゴールド)の値

ついでに2019年の米中対立が激化した時の様子も上のグラフで見てみると、このときもちゃんと景気悪化イベントに反応して株価が動いていることが確認できます。

さいごに


一見すると景気には関係なく上昇しているように見える最近の米国株でも、ドルの価値低下の影響を取り除けば、ちゃんと世の中の動きに反応して株価が動いてきたことをグラフを使って見てきました。

冒頭でお話した「景気が悪いのに、米国株は早々上昇して、動きが乖離している」という指摘は、ドルの価値低下の影響を見落としてしまっているのかも知れません。

ドルの価値低下を考慮すると、株価は今でもちゃんと適切に動いているように見えます。

ドルの価値低下を引き起こしているのが、金融緩和や景気刺激策だとすれば、これらの効果が続いているうちは、株を保有していても問題なさそうです。しかし、金融緩和や景気刺激策が縮小する場合には、大きな転換点になると思われます。


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