先日、「現在、景気サイクルのどこにいるのかをどうやって調べるか」「景気サイクルごとに、どの業界の株価が伸びる傾向があるのか」について記事を書きました。
景気サイクルごとにどの業界株が強いかを調べるサイト【ビジネスサイクル・アップデート】
「今は景気の波のどこに位置しているのか」を把握し、「景気サイクルごとに、過去はどんな業界株が有利なリターンを上げたか」の知識を正しく持つことは重要です。この2つの手助けをしてくれるサイトを、この記事で紹介します。
この記事の中で、以下の図のように景気サイクル毎に株価を伸ばしやすい業界があるという話をしました。
2020年前半の新型コロナで不況に陥ってから米国株は新しい景気サイクルに入りましたが、今回のサイクルでも過去と同じような業界株の傾向があるのか調べたので、この記事で結果をお伝えします。
細かな違いはありますが、今回のサイクルでも大雑把に見れば今までの景気サイクルと同じような傾向が見られるようです。
この記事のポイント
- 2020年4月以降の業界株ETFのトータルリターン(株価の値上がり+分配金)を調査した。
- 今サイクルでは、石油株の株価回復が景気回復序盤から見られるなど細かな点で違いが見られるが、おおむね過去の景気サイクルと傾向は似ている。
- もしも、今後も過去と同じような業界株の傾向が見られるなら、どのような業界の株が有望となるかを考えた簡単なメモを本文に記載。
2020年4月以降の業界株の値動きについて
2020年は前半に新型コロナの流行を受けて米国株が急落しましたが、3月末には底値をつけて上昇を続けています。
株価の上昇が再びはじまった2020年4月以降に、どの業界がどれだけリターンをあげたのかを月別にまとめたものがこちらです。
上記の図では傾向を把握しづらいので、3ヶ月ごと(4半期ごと)をリターンをまとめてみました。
こうなると、少し傾向が見えてくるのではないでしょうか。
先日の記事でもお伝えしたように、2021年6月現在アメリカの景気は景気拡大期の『序盤』を過ぎて、『中盤』に入ってきている段階だと言われています。
以下の過去の景気サイクルのパターンの図で見比べると、今回の景気サイクルでは景気回復の序盤から石油業界株の株価上昇が早々に始まっている点など細かな違いはありますが、サイクルの初期から「一般消費財」「金融」「IT」「インダストリー(産業)」「素材」の株が強く、反対に「ヘルスケア」「生活必需品」「公共」は弱いなど、大まかな傾向は過去のものと似ています。
これからの業界株の動向について
2020年から2021年第2四半期までの業界リターン(図3)をもう少しだけ細かく見てみると、一般消費財とITの株価の上昇は早々にピークをつけて下落している時期も見られたり、金融もまだ伸びているもののピークをつけているなどの傾向が見え隠れします。
加えて、今後も過去の景気サイクル(図1)と似た値動きをするなら、これからどの業界に投資をしていけば良さそうか、薄っすらと青写真のようなものを描けそうです。
過去のサイクルの傾向(図1)と今のサイクルのリターン(図3)を見ながら、今後の投資について各業界毎に私がぼんやりと考えたことを箇条書きでメモしておきます。
今後の業界株について考えたことのメモ
- 金融:今は好調。ただし、ピークは既に過ぎて今後の景気中盤以降は弱くなるはずなので、そろそろ売り時を考える時期。
- 不動産:同上
- 一般消費財:既に旬は過ぎている。過去の景気サイクルでは今後も弱いままなので、特に保有しなくていい。
- IT:旬は過ぎている。ただ、景気中盤まで強い業界なのでまだしばらく伸びる。
- 産業:既に旬は過ぎている。まだ上昇が続いているが、そろそろ売りどきを考える時期。
- 素材:景気中盤で一時的に弱くなるので、好調な今の時期の利益確定も選択肢にいれる。景気終盤では再度強くなるので、再投資のチャンスを伺うのも良い。
- 生活必需品:まだ弱い業界だが、景気終盤で調子を上げるので、そろそろ買い時を考える頃。
- ヘルスケア:同上。
- 石油:今は好調。景気終盤になっても強いはずだが、既に利益が出ているなら、一部を生活必需品やヘルスケアに振り分けても可。
- 通信:そこそこ好調。景気中盤でも好調が続くので、しばらく保有をした後に売りどきを検討。
- 公共:今は弱い。景気終盤から調子を上げて不況時に強みを発揮する銘柄なので、生活必需品やヘルスケアが上昇を始めたら買い時を検討。
さいごに
この記事では、2020年4月以降の業界株のリターンを追いかけていきました。
今のところは、おおむね今回の景気サイクルでも過去と同じような業界株の傾向が見られているようです。
また、これは私だけかもしれませんが、一ヶ月の単位で業界株のリターンを追いかけても傾向は掴みくかったです。
景気サイクルを意識して業界を選んで投資する場合には、1日の値動きを見て「上がった」「下がった」などと気にしないどころか、1ヶ月の値動きですらも一喜一憂しないで投資を続ける必要がありそうです。
おまけ
この記事で追跡したリターンは株価の値上がりだけでなく、分配金(≒配当)で得られるリターンも合計して算出するトータル・リターンと呼ばれる数字を見ていきます。
トータル・リターンを調べるのは大変なので、ポートフォリオ・ビジュアライザというツールを使って調べています。
ポートフォリオ・ビジュアライザの詳しい使い方を知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。。
【超便利】米国株ポートフォリオ検証ツールPortfolio Visualizerの使い方
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