昨日、お話したシリコンバレーバンク(SVB)の件、少し急な展開だったのですが破綻が決まりました。
>>SVB破綻、FDICの管理下に-過去10年余りで最大の米銀破綻(ブルームバーグ)
過去10年で最大規模の銀行の破綻になるようです。
数日前までこの日は雇用統計に注目が集まると思っていたのですが、雇用統計どころではなくなってしまいました。
今回の件で、金融引き締めができる余地が大きく減少したと思います。この展開で米国債は大きく買われました。
この記事のポイント
- 2022年の金融引き締めの影響を受けてシリコンバレーバンクは破綻した。
- 他行の破綻は続かないとの意見もあるが、投資家は銀行業界に警戒を強めている。
- 利上げ余地は大幅に低下した。米国債は2001年(ITバブル)や2008年(世界金融危機)以来のペースで大きく買われている。
シリコンバレーバンク破綻
既に冒頭でも書いたように、シリコンバレーバンクは破綻しました。
展開が早かったですね。
昨日のブログでもシリコンバレーバンクのここまでの経緯を書きましたが、2022年のアメリカの大規模な金融引き締めの影響を受けて預金が減少したことに加えて、「資金調達の失敗し、破綻」という1行が加わりました。
- (1)利上げ前はスタートアップ企業から預金を集めていた。また、その資金で株や国債に投資をしていた。
- (2)利上げ後は、株や国債の価格が下落。また、利上げでスタートアップ企業は資金繰りが悪化してシリコンバレーバンクの預金額も減った。
- (3)現金を確保するために、シリコンバレーバンクは含み損が出ている資産を売却することになった。3月8日に保有する資産の多くを売却し、新株発行による資金調達を発表。
- (4)[NEW]資金調達に失敗し、破綻
さて、今回のような破綻が続くのかが心配されます。
シリコンバレーバンクはスタートアップ企業からの預金の規模が大きかったこと、また他の銀行に比べても債券への投資が大きかったことから、今回の破綻は特殊で他の銀行は問題ないとの意見も聞きます。
しかし、一部の銀行株で極端に大きく下げているものがあるところを見ると、「金融引き締めがさらなる破綻を起こす可能性はないか」と警戒している様子が見え隠れします。
アメリカの財務長官のイエレン氏も、いくつかの銀行を注意深く監視していると警戒している発言を残しています。
シリコンバレー銀行(SVB)の話が出たが、最近いくつかの銀行に関する動きがあり、私は非常に注意深く監視している
利上げ余地は残りわずかに
銀行の破綻が続くかどうかは私には分かりませんが、少なくとも銀行を苦しめることになる金融引き締めの余地はかなり小さくなったと感じます。
市場の投資家は政策金利の見通しを大幅に引き下げているようです。
今後の政策金利予想に合わせて動く、米国2年債利回りはこの2日間に0.50%も急激に低下しています。これは今後2年間の利上げ予想の縮小と、利下げ予想の拡大が急に進んだことを意味します。
この2日間の利回りの下げ方は2001年(ITバブル)から2008年(世界金融危機)でしか見られなかった規模です。
この展開なら米国債はまだまだ買われると思います。去年末からずっと今か今かと米国債の価格が上がるのを待っていましたが、ようやく上昇が始まったかも知れません。