スターバックスの2020年1-3月期(Q2:第2四半期)の決算ですが、今回ばかりは良くなかったです。
収益・利益はほとんどアナリスト予想にそった内容でしたが、収益は-5%、純利益はマイナス50%と大きくつまづいています。
理由はいわずもがな、世界的な新型コロナウイルスの流行の影響を受けて多くの店舗が開店できない日が続いたためです。
また、決算発表のあった4月28日時点では、アメリカのスターバックス直営店で50%の開店、ヨーロッパ、日本では25%の開店率に留まったといいます。
世界の中で、唯一復帰に向けて動き出している中国では98%が既に開店できていると言いますが、営業時間の短縮や座席数の制限をかけてるため、売上の回復はまだ当分先のようです。中国での4-6月期売上は、-25%から-35%になる見通しだと発表しています。
この記事のポイント
- 収益は事前のアナリスト予想を上回ったが、一株利益は予想を下回った。また、既存店舗売上は前年比マイナス10%で、急減速した。
- 業績低迷の理由は新型コロナウイルスの影響で、世界の多くの店が開店できなかったため。
- 中国の直営店は既に98%が開店できて、復帰に向けて動き出しているが、営業時間や座席数に制限をかけた状態での営業のため、売上は回復していない。中国は6ヶ月先まで既存店売上が前年を下回ると見ている。
- 1-3月期は中国での売上が低迷したが、4-6月期は米国の売上が低迷する可能性が高い。米国は売上の7割を占めるので、4-6月期がスターバックスにとって山場となりそう。
2020年1-3月期結果
2020年1-3月期のスターバックスの業績は、おおよそアナリストの予想通りでした。しかし、これは悲観的な数字を予想したアナリストが多かったためだと思われます。
2020年1-3月期
- 一株利益:0.28ドルで、予想を0.01ドル下回る。
- 調整後一株利益:0.32ドルで、事前予想に一致。
- 収益:620億ドルで、予想を1.5億ドル上回る。
- 既存店売上:前年比マイナス10%
単位:10億ドル | 2Q20 | 2Q19 | 前年比 |
---|---|---|---|
収益 | 6.0 | 6.3 | -5% |
営業利益 | 0.5 | 0.9 | -43% |
営業利益率 | 8% | 14% | – |
純利益 | 0.3 | 0.7 | -50% |
利益率 | 5% | 11% | – |
営業利益も純利益も目をみはる落ち込みをしていますが、普段からスターバックスの決算を見ている人なら、既存店舗の売上が落ち込んでいることに驚いたと思います。
既存店売上が5%から6%で伸びていれば、上々と言えるスターバックスでマイナス10%も落ち込んだからです。
スターバックスの決算をそこまでキャッチしていない人もいると思うので、近年の既存店舗売上の成長率をグラフ化してみました。これをみると「だいぶダメージを負ったな」と実感できると思います。
この既存店売上成長率はスターバックスにとって、とても重要な数字です。
スターバックスほど店舗数が大きくなると、毎年成長を続けるには新規店舗の出店を増やすことだけでは売上成長が維持できません。なので、継続的な売上の成長のためには、既存店の売上が成長することが重要になります。
1-3月期の低迷の原因は中国の売上
1-3月期で既存店売上が低迷した理由は、中国です。
まず、スターバックスの売上の7割を占める米国の既存店舗の売上を確認すると、一部の店で店舗封鎖があったのは3月半ばからだったので、今期の決算では大きく影響しませんでした。
米国(前年比) | 2Q20 | 2Q19 |
---|---|---|
既存店売上 | -3% | 4% |
-客数 | -7% | 0% |
-客単価 | 5% | 4% |
一方で、世界に先駆けて新型コロナウイルスが流行した中国では、1-3月の多くで店舗営業ができない時期が続いたため、既存店売上が50%減少しました。
中国(前年比) | 2Q20 | 2Q19 |
---|---|---|
既存店売上 | -50% | 2% |
-客数 | -53% | -1% |
-客単価 | 6% | 3% |
4-6月期以降はアメリカで売上低迷へ
ただ、中国の売上低迷は恐らく1-3月期でピークを過ぎたと思います。
スターバックスは決算発表の4月28日時点の開店状況を報告していますが、中国の98%の店舗で開店ができていると言います。
スターバックス開店率(4月28日時点)
- 米国直営店:約50%
- カナダ、イギリス、日本直営店:約25%
- 中国直営店:約98%
- 世界のスターバックスライセンス店舗:約50%
ただし、中国で98%が開店出来ていると言っても、営業時間や座席数に制限をかけているので、売上が当面回復しないようです。
今回の決算で中国の既存店舗売上の見通しだけ発表されましたが、少なくとも今後6ヶ月は前年の売上には戻らない悲観的な業績予想でした。
中国既存店の業績見通し
- 20年4-6月期(第3四半期):前年比マイナス25%-マイナス35%
- 20年7-9月期(第3四半期):前年比マイナス10%-ゼロ成長
- ※20年度(9月締め)業績予想:前年比マイナス15%-マイナス25%
これらの数字から見えてくるのは、「中国に遅れて新型コロナウイルスが流行したアメリカでは4-6月期以降、中国で既に起こっているような売上低迷期が起こること」、「落ち込んだ売上はすぐには回復しないということ」の2点です。
先程も触れたようにスターバックスの売上の7割はアメリカから来ているので、アメリカの売上が沈む4-6月期にスターバックスは山場を迎えるはずです。
スターバックスは私も注目している企業ですが、まだまだこの株の投資を再開するには、ビジネスが心もとない状態です。