先日、動画ストリーミング端末を販売するRoku(ロク)の2019年決算がありました。売上・利益ともにアナリストの予想を上回って、内容はとてもよかったです。
- 売上:前年同期比59.5%の$250.1M。アナリストの事前予想を$26.74M上回る。(Mは100万)
- 一株利益:調整後利益はマイナス0.08ドル。アナリストの事前予想を0.13ドル上回る。
いきなり、決算の数字から入ってしまいましたが、そもそもロクって何の会社だと思っている人も多いと思いますので、会社紹介から入ります。
ロクはネット動画をテレビで見れるようにするための端末を売っている会社で、アメリカでは既にかなりのユーザを抱えています。そして、この会社は端末を売る収益よりも、近年はロクを操作するテレビ画面に写す広告で急成長しています。
従来のケーブルテレビに広告を出していた会社が、ロクに広告を移す動きもあり、ディズニー株などの既存メディアを抱える株の持ち主としては気になる存在だったので、調べてみました。
ロクはテレビに接続する動画ストリーミング端末を売っている会社
日本ではロクはサービスを提供していなかったと思うので、そもそもこの会社を知る機会すら少ないのですが、ロクはテレビでネット動画をみれるようにする端末を提供しています。
テレビに接続してネット動画を見るGoogleのChromeCast、AppleのApple TV、AmazonのFireTVを使ったことがある人は、ロクをイメージしやすいと思います。それらと同じような製品を提供している会社が、ロクです。
次のようなスティックを差し込んでテレビで、YoutubeやAmazon Primeビデオを見れるようなったります。
また、スティック端末をテレビに装着しなくても、もともとロクが標準搭載されているテレビを買ってもみることができます。
ロクの特徴は、見れる動画サービスがかなり幅広いことです。Netflix, Youtube, Amazon Prime Video, Hulu, espn, HBOなど幅広く見れるようになります。
もともとは10年以上前にネットフリックスの動画をどのテレビでも見れるようにするための装置を製造していましたが、有名な動画サービスに次々と対応して、動画サービスをつなぐハブのような役割を担いつつあります。
動画ストリーミングサービスをテレビで見るための装置のユーザ数比較では、あのアマゾンやグーグルよりもリードしています。
ロクの収益源は広告に変化を遂げた
こうしたユーザ数を伸ばしている中で、ユーザ数に比例して価値があがる広告ビジネスで成功しているのは、とてもいい兆候です。近年のロクの売上構成を見ていると、端末(device)は一定の売上で安定している一方で、広告と動画サービス利用料(Platform)が著しく伸びているのが解ります。
※縦軸の単位は100万ドルです。
時価総額は144.7億ドルと、他の広告ビジネスを行っているgoogleやfecebookに比べると桁違いに小さく、伸びしろが大きいことも特徴です。
ロクの懸念点は、アメリカ以外の市場で成功できるか
しかし、気になる点がないこともありません。一番気になる点は、アメリカ以外でどれだけ受け入れられるかが未知数なことです。
日本ではロクは販売されていませんが、我が家にはChromecastもappleTVもあるので、テレビでYoutubeもHuluも見れるし、ロクが発売されても既に買う動機がありません。
「あれ、じゃあ一体なんでアメリカではわざわざロクを買っているんだ」という基本的な悩みが出てきます。恐らくそれは、アメリカのテレビの視聴環境が影響しています。
アメリカでは、テレビを買ってきても毎月高い料金を支払ってケーブルテレビと契約しないと何も見えれないただの箱でしかないとよく聞きます。このような視聴環境ではRokuが標準搭載されているTVを買ったり、3000円ほど余分に出してロクの装置を買ってネット接続さえすれば、Youtubeも、ABCテレビでも、Amazon Prime Videoでも見ることが出来きて、大変安あがりにテレビを楽しめます。
つまり、ロクはアメリカのようなケーブルテレビ主流で視聴コストが高い国でないと、流行らない恐れがあります。先程はロクの伸びしろが大きいと言いましたが、アメリカ以外の市場で苦戦するようだと、思ったよりもかなり小さい伸びしろで終わる恐れがある点には注意です。