毎週発表されるクレジットから推定した消費データからを見ながら、アメリカは10月終わりから11月にかけて低迷したのではないかという話をこのブログでしてきました。
その答え合わせが少しずつできるようになってきたので、確認したいと思います。
月末のアメリカ個人消費支出の発表を前に、まず11月の小売売上高が明らかになったので見ていきます。
この記事のポイント
- 11月の小売売上高は予想ほど悪くなかった。また、毎週発表されているクレジットカードのデータが示すほど消費は落ち込んでいない。
- 雇用に続き、小売も予想よりも強かったことで第4四半期のアメリカの経済成長率予想も上向いている。
思ったほど悪くない
アメリカの11月の小売売上は予想以上に伸びていたことがわかりました。
もともと予想では前月から横ばいかと思われていたのですが、予想以上の伸びを見せています。
- 予想:0.0%
- 結果:0.3%
- 前回:-0.1%から-0.2%へ下方修正
この結果は、少し解釈が難しいです。まず、思っていたほどアメリカの消費は悪くなかったというのは、認めないといけません。
クレジットカードの使用状況をもとに毎週発表されている消費の推計値(Near Real-Time Spending:ほぼリアルタイムの支出データ)を2023年年明けからグラフ化してみると11月はもっとも消費が弱くなっているはずだったのです。
しかし、小売売上高のグラフの形を確認すると、11月は最も消費が弱かった時期ではなさそうです。
両者の間には何かズレが生じてしまっています。
クレジットカードを元にしたデータのほうが低調な消費を示している理由は、クレジットカードは金利が上がっていることも影響あるかもしれません。
所得が低いほどクレジットカードの延滞率が上がっているので、支払い残高を積み上げたくない消費者も増えているのかもしれませんし、後払い決済(BNPL)などのその他の支払い方法を使うようになっている影響もあるかもしれません。
いずれにしろ、何らかの理由でクレジットカード使用量の伸びは鈍化していますが、アメリカの消費はまだ思ったほど衰えていないようです。
第4四半期の経済成長予想も上方修正へ
雇用統計といい今回の小売売上高といい、最近はアメリカの景気は予想ほど弱くないというデータを度々目にします。
アトランタ連銀は経済指標の発表があるごとにアメリカの実質GDPの伸びの予想を更新しているのですが、最近では雇用統計と小売売上高の結果をを、10-12月期の経済成長率予想が上方修正されています。
「思っていたほどアメリカ経済は弱くない」はこの1年間を象徴するかのようなトレンドでしたが、これがあとどの程度続くのかは見届けていきたいと思います。