少し遅くなってしまったのですが、あと数日で6月の個人消費が発表になるので、先週発表されたアメリカの6月の小売売上について触れておきたいと思います。
6月の小売売上高も悪くはないのですが、やっぱりアメリカの小売売上の成長のペースは減速したと感じます。
しかし、アメリカはサービス消費がまだ拡大を続けているので、モノの消費を中心とする小売売上が低迷しても、個人消費全体はまだいくらか強さが残っているという構図に変化は見られていません。
この記事のポイント
- 6月の小売売上高は予想ほど伸びていなかった。前年比で見えると成長率の鈍化傾向が続いている模様。
- 名目で見ても、小売売上高の前年比はコロナ前に比べて低い。実質では既に前年比マイナス成長になっている。
- しかし、低迷しているのは主にモノの消費。サービス消費が冷えるまでにはまだ時間がかかる模様で、個人消費はまだいくらか強さが残りそう。
6月の小売売上高について
6月の小売売上について見ていきます。
- 結果:前月比0.2%(予想:0.5%)
- 前回:0.3%から0.5%へ上方修正
今回の結果ですが、なんだか強弱入り混じっていています。
前月(5月)のデータは上方修正されたのですが、一方で6月は予想を大きく下回っているので、良かったのか悪かったのかいまいちパッとしません。
自動車の売上を除いたコアのデータを見ても、同じような傾向が続いています。
- コア:前月比+0.2%(予想:0.3%)
- コア前回:前月比0.1%から0.3%へ上方修正
このようなデータは読み方に困るのですが、こういう場合は前年比でデータの傾向を見てみるといいかもしれません。
そう思って、前年比の小売売上高の伸びのグラフ(下図)を見てみると、鈍化傾向にあることがわかります。
小売売上高の名目の伸びが前年比1.5%というのは、コロナ前(2020年2月に5.0%)に比べてもかなり小さい値です。
この中にはインフレによって価格が引き上げられている分があるので、インフレ分を除いた実質を見てみると既にマイナス成長になっています。
こうしてみると小売売上高は既に強くないのだと見ることができます。
アメリカ経済への影響
ただ、注意が必要なのは、小売売上高が低迷しているからと言って、すぐに「個人消費が弱い」「アメリカの景気が弱い」とはならないということです。
たしかに、小売売上高は強さはないのですが、小売売上高は(一部にサービス消費も含まれますが)モノの消費を中心としたデータです。
一方で個人消費は小売売上高よりサービスの消費を多く含み、最近のアメリカのサービス消費は強さが残っているので、まだアメリカの個人消費は強さが残っていると思います。
あと数日経てば6月のアメリカの個人消費が発表されますが、恐らくはまだ好調なサービス消費が個人消費を支えるのだと思います。