今週発表された経済指標はどれも良くない数字のものが並びました。
ここではその1つの11月の小売売上高について書いていきたいと思います。10月好調だった分の反動が合ったのかも知れませんが、前月にくらべて売上は落ち込んでいます。
この記事のポイント
- 11月のアメリカの小売売上は予想を超える落ち込みを見せた。ガソリン代の上昇は止まっているが、消費の勢いは戻ってこない。
- 2022年の小売売上は名目ではまだ成長が維持できているように見えるが、実質では2022年半ばから成長はほとんど止まっている。
予想より悪かった11月のアメリカ小売売上高
早速ですが、11月のアメリカの小売売上高を振り返っていきます。
前月が好調だったので、その反動からマイナス0.1%と控えめな予想が立てられていたのですが、結果は予想よりも悪いマイナス0.6%でした。
- 予想:前月比マイナス0.1%
- 結果:前月比マイナス0.6%
この結果は良くなかったと思います。何が良くなかったのかを調べるために内訳も見ていたのですが、その中身もよくありませんでした。
原油価格の低下の恩恵を受けて、アメリカの人々がガソリン代に費やすお金はわずかに減ったのですが、その分が他の消費に回る動きは見られませんでした。
車や家具や家電などの高価なものの売上は前月から大きく減少しています。デパートの売上がマイナス2.9%という点を見ても、消費者の生活に余裕がないことがわかります。
前月から売上を伸ばしたのは、食品関連で効果なモノの消費を避けて、比較的安価に抑えやすい飲食にお金を使っています。
高いモノは変えないけど、せめておうちで美味しいご飯を食べたり、レストランで食事をする感じだった模様です。
企業の目線に立ってみると、製造業はかなり苦戦、(飲食関連を中心に)サービス業は善戦した1ヶ月だったようです。
製造業の低迷については思い当たる節があります。最近発表されるどのアメリカの製造業の景況感データも低迷しているのは偶然ではなさそうです。
>>アメリカ製造業の景気、ついに悪化を示す【ISM製造指数】
2022年の小売動向について
2022年内に発表される小売売上は今回が最後になるので、2022年の小売売上について簡単に振り返っていきたいと思います。
下のグラフは2022年の毎月の小売売上高(名目)をグラフ化したものです。一見するとまだアメリカの消費の成長は続いているように見えます。
しかし、月別の成長率を比べた時には成長が鈍化してきている点には注意がいるかも知れません。
また、上で見たように最近では高価なモノを避ける傾向が見られるのは要注意です。
この記事のポイント
つぎに実質の売上(インフレの分を除いた小売売上高)を見ていきます。こちらは下のグラフ一つで、成長が止まったことを認識できると思います。
つまり2022年はインフレに打ち勝てる消費の成長はほとんど見られなかったことになります。これが続いている以上、アメリカの実質GDP成長率もさえないものになるはずです。
2023年にインフレは低下する見通しが見えてきましたが、消費の実質成長はまだ感じられません。2023年はスタグフレーションの恐れは低下したと思いますが、景気後退の可能性はかなり高くなっていると思います。