2010年代に米国株が上昇した理由。その理由が消えつつある2020年代。

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2020年になってから既に数ヶ月たちましたが、2010年代の10年間のアメリカ株を振り返っておきたいと思います。

結果的には、右肩上がりで怖いものなしの上昇相場になりました。米国株S&P500は10年間で約3倍にまで膨らんでいます。

約3倍に上昇した2010年代のS&P500

企業の利益が上昇すれば、株価も上昇するのがセオリーです。でも、この2010年代のアメリカ株の上昇理由は少し特殊でした。

2010年代のアメリカ企業の税引き後の利益を眺めていると、意外にも2014年をピークに横ばいが続いて伸びていないことがわかります。

この記事では、2010年代に3倍になったアメリカ株の上昇理由を説明した後、2020年代に入ってからその上昇理由の一部は失われつつあるというお話をします。

この記事のポイント

  • 2010年代はアメリカ企業の利益は伸び悩んだ時代だった。
  • それでも、2010年代に株価は3倍に伸びて絶好調だった理由は、(1)大規模な少数のテクノロジー企業の成長、(2)金利の低下で株の評価額が上がったこと、(3)低金利で多額の社債を発行して自社株買いをしたこと。
  • 2010年代に株高を支えた理由のうち、2つを失いつつある。長期金利は既にゼロに近づき、社債もGDP比で例がないほど膨らんで持続が難しい。2020年代はアメリカ株は苦戦するかも知れない。

伸び悩んだ2010年代の企業利益

意外かもしれませんが、2010年代のアメリカ企業全体は利益が伸び悩んだ時代でした。

米国商務省が発表している企業の税引き後の利益のデータを見てみると、2014年第3四半期をピークをつけて、あまり伸びていないことがわかります。

もちろん、2010年代を通じて好調が続いた企業もありましたが、全般的に見ると利益は伸び悩んでいたことがわかります。

2010年代にアメリカ株が上昇した3つの要因

じゃあ、なんで2010年代は米国株が好調だったんだという疑問が上がってきます。

恐らく2010年代に米国株があがった理由は次の3つです。

2010年代の株価上昇要因

  • アップル・マイクロソフト・アマゾン・グーグルなど、株価指数に強い影響を与える少数の企業で業績が好調だった。
  • 低金利でアメリカ株の評価額が上がったこと(株価収益率PERが上昇した)
  • 低金利の環境を利用して、社債で自社株買いが盛んに行われたこと

少数IT企業の躍進

1つ目は多くの人が知っていることだと思います。GAFA(グーグル・アマゾン・フェイスブック・アップル)にマイクロソフトを加えた、ITの巨人が2010年代に飛躍した結果、S&P500が上昇しました。

米国全体の利益は2014年以降に伸び悩みましたが、ITの巨人たちを含む時価総額が大きい企業の利益を大きく見積もるS&P500では、一株利益は順調に上昇を続けています。

時価総額の大きな一部の稼げる企業が、S&P500の利益を押し上げて、株高につながったようです。

低金利で株の評価があがった

2010年代に株価が上昇した理由の2つ目は、長期金利が低下したことです。理論的には金利が下がると、利益が変わらなくても株価の適正価格が上昇します。

>>【関連記事】割引率って何?金利が下がると株価が上がる仕組みとは。

株の適正価格が上がったことを確認するのはちょっと難しいですが、この10年間のS&P500のPER(株価収益率)を見れば、これが起こっている雰囲気を見ることができます。一株利益が変わらなくても株価が上がるとは、PERが大きくなることを意味するからです。

2010年代のS&P500のPERを見てみると、たしかに上昇傾向が見られます。

自社株買いが盛んに行われた

次も低金利と関係するのですが、2010年代は社債の金利も低下したことで、米国企業は少ないコストで自社株買いができる資金を調達できるようになりました。

少しデータが古いのですが、以下の米国企業の自社株買いの規模の推移を見ると、2000年代に比べて、2010年代は自社株買いの勢いが増していることがわかります。

2010年代の株の上昇理由を失いつつある米国

さて、ここまでで2010年代の米国には3つの株価上昇理由があったと説明しました。

でも、2020年代の米国株は少し苦戦するかも知れないなと感じています。2020年で早くも、上昇理由が2つほど失われつつあるからです。

アメリカの政策金利はゼロに近づいて、利下げできる余地がほぼなくなっています。また、自社株買いの原動力になっていた社債の規模も大きく膨らんで、持続が難しい状態に近づいています。

個人的には、米国の社債は次の景気後退の火種になりかねないと思っています。この詳細は以下の記事で詳しく書いています。

>>【新型肺炎ではない】アメリカが急激な利下げをする本当の理由

ただ、やはり一番気になるのは、米国の長期金利がゼロに向かいつつあることです。

米国の金利低下の流れは2010年代の10年間だけではありません。歴史を振り返ると、1980年代に15%もあった10年米国債利回りは、長い時間をかけて低下し続け,ついには2020年3月の時点で0.7%になりました。

ゼロに近づきつつある米国10年国債利回り

金利の上昇は「米国債の利回りが低くなりすぎて魅力がないと投資家が判断する場合」か、「米国政府が予算を拡大しすぎて大量の国債が発行され、国債が売れなくなった場合」に起こります。

40年間株価を支えた金利の低下ですが、2020年からの10年間で金利が長期の上昇トレンドに転じることも十分ありえます。

2020年代の米国株の投資は、2010年代のように簡単には行かないかも知れないなと感じています。


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