この記事を書いている翌日、7月8日には雇用統計の発表があります。
明日の数字の発表で市場が大きく動くとは思っていないのですが、これからの米国株の展開を占うのに失業率の数字の重要性が増していると最近感じています。
この記事では、今の時期に失業率をチェックする意味について考えていきます。
この記事のポイント
- 失業率の上昇が続けば、景気後退の突入を察知することができる。景気後退のどこかで起こるはずの急な株価下落に備えることができる。
- 失業率が低いままなら、FRBは安心してインフレ退治のための金融引き締めを継続する恐れが出てくる。
失業率からわかること
失業率が増えているかどうかで、いくつかわかることがあります。私が注目しているのは、次の2つです。
- (1)景気後退が近いかどうか。
- (2)FRBによる金融引き締めがまだ続くかどうか。
まず、1つ目は失業率の上昇で景気後退が近いかどうかを知ることができます。
景気後退前にはほぼ必ず失業率が上昇する傾向が見られ、具体的には過去3ヶ月の失業率の平均が過去12ヶ月の最低の失業率から0.5%ポイント上昇してしまうと、だいたい景気後退に入っていると考えられます。
2022年の上半期が終わったばかりのアメリカでは、恐らく実質GDP成長率はマイナスなのですが、失業率は低いままでは景気後退入りしたかどうかがハッキリしません。
なので、失業率も上がって景気後退に入ったことが確かになれば、景気後退の中盤から終盤にかけて訪れることが多い株の急落に備えることができます。
失業率が低いなら金融引き締めは続く
一方で、もしも失業率が低いままが続いたり、失業率が上がってもわずかだった場合は、何が待っているでしょうか。
その場合は残念ながら、2022年に米国株の投資家を苦しめてきたFRBの利上げがまだまだ続く可能性が出てきます。
FRBの目的は「雇用の最大化」と「物価の安定」です。最近は原油などの商品先物が下がってきたとは言え、まだまだ高いインフレ率が続いています。そんな中でも失業率が低いままなら、FRBは安心して利上げをしてインフレ退治に専念してくることが予想されます。
個人的にはこのケースが現実になるのは、投資が読みづらいのでイヤです。
2022年のうちはまだ良いのですが、利上げが止まると市場が予想している2023年になっても高インフレ・低失業率の状態が続くと、予想上に利上げが長期化して株価に悪影響がでる恐れがあります。
まだ失業率は低い模様
さて、今後のアメリカの失業率ですが、まだしばらくは失業率は低い状態が続くかも知れません。
次のグラフは少し前のデータでになるのですが、5月までアメリカの求人数はまだ記録的に高い状態にあって、これらの求人数が急速にしぼむ兆しはまだ見えていません。
毎週報告されている新規の失業保険申請数を見ても、少しずつ失業者は増えているもののまだ大きな失業者の増加にはなっていないように見えます。
こうなってくると、次に注目が集まるのはインフレ率の数字です。これも高いままだと、先程も言ったように金融引き締めが長引くシナリオがわずかに出てきてしまいます。