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ペイパル、1-3月は低調も4月に急回復【20年1-3月期決算】

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ペイパルは日本では知名度がイマイチ高くありませんが、ネット通販サイトなどにさまざまな決済機能を提供する世界的な大企業です。

新型コロナウイルスの影響を受けてペイパルもどうせイマイチな業績なんだろうなと思っていたのですが、「え?」っと目を疑う数字を目にしました。

新型コロナウイルスの影響を受ける前の1月時点よりも、世界的に都市封鎖を実施していた4月のほうがユーザ数を急増させ、一時的に低迷した売上も4月に急回復しています。これは他の決済サービス企業では見られなかった傾向です。

既にこのブログで触れたように、決済サービスを提供しているVisaやマスターカードの1-3月期の決算はあまり良くなかったです。

ただ、ペイパルは少し様子が違いました。

確かに1-3月期の結果は利益・収益ともにアナリスト予想を下回りましたが、ネット決済に強いペイパルは実店舗の封鎖の影響受けにくく、ネットでの買い物に相性が良いのか、4月に急速に業績が回復しています

決済サービスを提供する企業の中では、ペイパルは回復が早いほうに属するかもしれません。Visaやマスターカードと異なる回復基調を感じます。

この記事のポイント

  • 新型コロナウイルスの影響を受けた1-3月期期の決算は、利益・収益ともにアナリスト予想を下回った。
  • しかし、ペイパルが発表した4月の業績を見ると、著しく回復基調にあることがわかる。
  • 実店舗での決済金額を多く抱えるVisaやマスターカードと違い、ペイパルはネット通販の需要の増加を受けやすく、4月以降に勢いよく回復をしている。

20年1-3月期結果

  • 一株利益:0.66ドルで、予想を0.08ドル下回る。
  • 収益:46.2億ドルで、予想を1億ドル下回る(前年比+12%)
単位:10億ドル 1Q20 前年比
収益 4.62 +12%
営業利益 0.91 -2%
営業利益率 19.7%
純利益 0.08 -85%
(調整後)一株利益 0.66 0%

アナリスト予想を下回った他、景気の悪化を見込んで貸倒引当金2.37億ドル積んだと発表したことで、株価は決算発表直後に5%を超えて大きく売られました。

ペイパルの貸し倒れ引当金とは、決済したのにユーザが支払えなくなって回収を断念する場合に備える金額です。この金額が大きければ、利益は減少することになります。

4月に好調の兆し


1-3月では悪い材料が目立っていましたが、この決算で一番興味深い発表は4月に業績が急回復している点です。

1-4月は世界中で新型コロナウイルスの感染者数が急増していった期間なのですが、上のグラフを見る限りペイパルを使うユーザアカウント数は急上昇しています。

またユーザ数の増加を受けて、収益の前年比成長率も急回復を見せました。

4月以降の業績に関するCEOとCFOのコメント

  • 4月のアカウント増加数740万人で、上場以来最も強い数字だった。
  • Paypalの決算処理回数も4月上旬から加速し始めて、25%上昇した。収益も20%上昇している。
  • 5月1日に、ペイパル史上最大の1日あたりの決済処理回数を記録した。去年のブラックフライデーやサイバーマンデーよりも多かった。
  • ただし、そんな中でも旅行とエンターテイメントの支払いは急減しているとコメント。Uber、Airbnb、Live Nationなどの重要顧客の決済が減っている。

実店舗からネット通販へのシフトが追い風か


ペイパルの好調はおそらく、世の中の実店舗の買い物からネット通販へのシフトの波にうまく乗れているためです。

実はこの傾向はマスターカードの決算発表資料でも触れていて、実店舗などでカードを使う支払いは急減している一方で、ネットやアプリでの支払いは4月に回復したといいます。

ペイパルはもともとネット決済に強い企業なので、実店舗からネットでの買い物にシフトしている動きが追い風となっているようです。

まとめ

このブログではビザ、マスターカード、ペイパルと決算を見てきました。

いずれも1-3月は業績が低迷したものの、4月以降に最も業績の回復傾向がはっきり見られたのはペイパルでした。

  • ペイパル:インターネット決済の需要増加に上手く乗れたためか、4月に収益が急速に回復している。
  • ビザ:インターネット決済の需要増加はそれほど恩恵を受けていないが、米国での決済比率が高いため4月中に低迷底打ちの兆し。
  • マスターカード:イインターネット決済の需要増のそれほど恩恵は受けていない、また米国の決済比率も高くないため、4月はまだ低迷。

新型コロナウイルス後の世界で、もっとも業績回復が早いのは3社の中ではペイパルになりそうな気配です。


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