「時間に負けるな」とは
「時間に負けるな」という言葉があります。
人から聞いた言葉なので、正しい意味をちゃんと把握できているか若干不安なのですが、「時間が無かったせいでできなかったと言い訳しないこと。時間に追われて、やらなきゃいけないことだけで1日を終わらないようにすること」の意味のようです。
毎日少しでも英語の勉強をしたほうが良いと思っているのに、何もしないで1日終わったり、ついダレてしまう自分に対して「時間に負けるな」という使い方をします。
もともと誰が言い始めたのはわかりませんが、私が初めてこの言葉を知ったのは、歌手の安室奈美恵さんがインタビューに応えている記事です。
「時間に負ける」って、変な日本語だなと思って、その後も何年も記憶に残っていました。そして、次第に結果を出す人はみんな「時間に負けてない人」なのかなとも思うようになりました。
そもそも、結果を出す人とは「限られた時間内に結果を出す人」だからです。野球でも、サッカーでも、音楽でも、プロは契約がある間に才能を開花させないとクビです。
どんなに素晴らしい結果でも、「限られた時間内」に結果を出さないといけないのです。シビアな世界ですね。
ただ、これは何もプロの世界にとどまりません。
投資はなぜ時間が重要か
「これに投資すれば2倍になりますよ」という情報は、実は何の価値もありません。話を聞いてみたら、100年かけて2倍になるような定期預金程度のスピードでしか増えないとわかった場合は、全然美味しい話ではないからです。
価値があるかどうかは、時間と一緒に考えないといけないことがわかります。
だからこそ、投資家は1年間あたりの利益である「年率」で投資をするかどうかを考えます。
「100年で2倍になる投資」は(複利で)1年間の平均リターンは0.72%です。一方で、米国10年国債は利回り2%程度なので、これに投資するくらいなら米国の国債を持っていたほうがいいな等と判断するわけです。
限られた時間内により多くのものが得られる金融商品こそが、価値があるのです。時間の概念がないと、価値があるかどうかすらわかりません。
限られた時間で多くのことをするIT
さて、「限られた時間で、できることを多くする」というのは、ひらたくいうと生産性です。
この現代で、最も手っ取り早く生産性を上げる方法がITです。このITが社会に与える影響は実はまだまだ過小評価されているように思います。頭ではわかっていても、ITを使って生産性をあげるというのはイメージしにくいと思いますので、具体例をあげます。
私の新入社員の時に配属されたチームでは、ある製品の動作確認の仕事をしていました。開発チームが作った製品ができあがると、私のいる5人のチームが2ヶ月ほどかけて検査をする仕事です。
しかし、私が入ったときからコンピュータを使った検証の自動化が主流になり、一番賃金の安かった私がそのプログラムを開発し、その他の人は徐々に切られていく方針が上のほうから伝えられました。
5人で2ヶ月かけていた仕事は、1年も経たずに2人で2週間になり、2年後には私1人で半日で実施するようになっていました。(実際には「1人で半日でやれ、できないなら日本人ではなくて、賃金の安いインド人を雇う」と言われて仕事をしていただけで、半日で出来たかは別です。準備も含めると数日かかることもありました。)
外資で、なおかつ漆黒なブラック企業だったので生産性への意識が高かったのでしょう。ちょっと例としては刺激的すぎますが、このようにうまく業務にITを取り入れられるケースなら、かなりの生産性向上になります。
同じ時間で、多くのことができるので、これは価値です。
生産性が高い企業はちゃんと利益を上げる企業です。近年はIT企業だけでなく、ウォールマート、スターバックス、マクドナルドなどの非IT企業もITを業務に積極的に取り入れる「デジタル化」と言われる動きがあります。
IT企業はすでにかなりの効率的な業務をしているとことが多いですが、非IT企業こそ改善の余地、伸びしろが大きいです。
IT業界に長くいる身としては、今後、非IT企業がどのようにデジタル化を進めて生産性を高めるかが、実は楽しみであり、見物だったりします。
参考記事:
スタバ、レジに並ばず商品を受け取れるモバイルオーダー&ペイを開始。
米ウォルマート、Googleアシスタントの新サービスでアマゾンを攻める。(NEWS CARAVAN)