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今後の経済は悪化を予想。要因はFRB資産圧縮と中国景気減速。

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景気悪化のリスク要因について

「これからどう考えても、景気悪くなるんだよな」
先日、前の職場の上司と話をしていて、ふとこんな話になりました。その上司は何十社ものクライアントを担当している営業グループの責任者なのですが、どうも今後の景気は良くないと考えてるようです。

既に職場を離れているので詳しい内容は聞きませんでしたが、私も同じ意見です。世界の経済がこれから下り坂になりそうな要因がいくつか見えているからです。

気になっていることの1つ目は中央銀行の方針転換、2つ目は中国経済のバブルです。

2019年に迎える「転換点」

昨年末に、それほどニュースにならずにさらりと報じられましたが、ヨーロッパ中央銀行がサブプライムローン問題の金融危機から続けてきた景気回復の政策を静かに終了しました。

2007年の金融危機を経験して、アメリカFRB、ヨーロッパECB、日銀の世界をリードする中央銀行が、大量の債権を買うことで市場に紙幣をバラまいてきましたが、FRBは2014年10月に、そして2018年12月にはECBもこの政策を終了させました。

今までは中央銀行が債権を大量に購入して景気刺激をしてきましたが、今後は逆に景気に悪影響を与える「買った債権の処分」が本格化することになります。2019年はその「転換点」を迎えることになります。

ピクテ・アセット・マネジメントよると、2018年までは世界の中央銀行は市場に紙幣を供給してきましたが、2019年は債権を買う額よりも処分する額が500億ドル(5.5兆円)上回ると試算しています。今後は世界の中央銀行は、景気刺激ではなく、景気引き締めへと動くことになります。

焦点:超緩和時代の終焉、市場が迎える中銀流動性の「転換点」(ロイター)

長期的に続く景気引き締め

しかも、この景気引き締めは長く続く恐れがあります。アメリカは既に、買った債権の処分を進めていますが、2018年初に約490兆円だったFRBの資産額は1年間かけて450兆円までしか減っていません。参考までに、2007年の金融危機以前の正常な状態ではこの資産額は100兆円でした。正常化に向けては、まだまだ多額の債権を処理する必要があります。

Federal Reserve Bank of St. LouisのECONOMIC RESEARCHより

債権の処分では過度に金融市場を刺激しないようにFRBも慎重に取り組んではいます。それでも、これから長い間に渡って、世界的に景気引き締め効果が発生することで、株価にどんな影響があるのか、注視していく必要があります。

こうしてみると2007年サブプライムローン・2008年リーマンショックの爪痕は深いですね。株価こそ当時の水準を大きく超えましたが、2019年の今になっても、この2つの金融危機の景気対策で膨らんでしまった中央銀行の債権の処理に悩まなければならないとは。100年に一度の金融危機と言われただけのことはあります。

実は、これと似た内容の記事は2016年にも書いていますね。世界の中央銀行は債権の処理を済ませていないので、まだ金融危機の夜明けを迎えたとはいないのではないかという意味で、こんなタイトルの記事を書いた気がします。

リーマンショックの余波。私達はまだ長い夜の中にいる。


追記:FRBは2019年内に資産縮小を停止すると発表しました。詳細はこちらに記載しています。


減速する中国経済について

2つ目の世界経済の懸念材料は、中国のバブル崩壊です。実はこのブログでは2015年から、中国経済は危ないと警鐘を鳴らしていました。

2015年から来る来ると言い続け、なかなか来ないで、はや4年も立ってしまいました。
読者の中には「まだ中国のバブル崩壊は来ないのか!待ちくたびれたぞ」という方もいると思います。

すみません。いつか来ると言い続ける占い師に価値はないことはよく分かっていますが、首都直下地震が来ることを警鐘する科学者のように「発生したときにインパクトが大きいので、備えをしっかりしましょう」という意味だと思って、長い目で見てください。

予想に反して中国経済が持ちこたえているのは、中国政府の舵取りがうまかったのだと思います。ただし、気になるニュースもあります。特に気になったのは、2018年GDP成長率が28年ぶりの低水準に下回ったことです。

中国の2018年の経済成長率、6.6%増と28年ぶり低水準(ロイター)

GDPの発表は、経済アナリストの予想よりは良かったようですが、それでも”28年ぶり”の低水準という数字は、無視するにはあまりに大きな数字です。


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