アメリカのインフレですが、いよいよ下がり始めたのではないかと思っています。
8月10日に発表された7月の消費者物価で物価の上昇ペースが弱まっていることが確認できましたが、その翌日に発表された生産者物価でもインフレが弱まっていることが確認できました。
この記事のポイント
- 2022年に勢いよく上昇していた生産者物価指数は7月に予想以上に伸びが鈍化したことがわかった。
- 消費者物価の伸びも7月に鈍化が見られ、アメリカはインフレのピークをつけたかもしれないとの考えが浮かぶ。
- インフレが収まれば株価にはプラス。しかし、40年ぶりのインフレとそれを抑えるための急激な利上げの悪影響が既に終わったかは疑問。
大きく低下した生産者物価
消費者物価に比べると注目度は低いですが、生産者物価指数は生産者が出荷した価格がどれだけ伸びているかを知ることができる数字です。
生産者物価が上がれば小売店も値上げをさざるを得なくなって消費者物価も上がるはずなので、生産者物価を消費者物価の先行指標として見る人もいます。
7月に消費者物価の伸びが鈍化したことは大きなニュースになりましたが、その翌日発表された生産者物価指数はさらに予想外に大きく低下しました。
- 前年比:+9.8(予想+10.4%)
- 前期比:マイナス0.5%(予想+0.3%)
消費者物価と同じように、生産者物価は大きく上昇していたのですが、ついに大きな低下が7月に見られました。
注目なのは、前月比の大きな減少です。マイナスに転じていて、物価が大きく下がっていることが確認できます。
先日の消費者物価とあわせて考えると、7月はかなりインフレは収まってきたように見えます。
ピークを付けたかも知れないアメリカのインフレ
消費者物価が発表された後に、アメリカの物価の伸び(前年比)は7月でピークをつけた可能性もあるのではないかと書きました。
そして、翌日に発表された生産者物価指数を見ても、7月でピークをつけたという説を後押しするような物価の伸びの縮小が見られました。
「2022年7月で物価はピークをつけた」という楽観的な見方が正しいなら、これは株価にとっては好材料です。
かつて、アメリカでインフレが大きな問題になっていた1970年代や1980年代のことを振り返ると、物価の伸びが止まった時期が株価の底値になっていたからです。
しかし、この2ヶ月ほどこのブログで言ってきたように、米国株が6月中旬で底値をつけたとはいう考えは、私の中ではまだ納得がいっていません。
>>【関連記事】GDP成長率と米国株の底はほとんど同じ時期に訪れる。
確かに、もしもインフレの鈍化が始まったなら、インフレを抑える耐えるための金融引き締めのペースが弱まる兆しが出るので株価にはプラスです。
しかし、40年ぶりのインフレを抑えるため払った犠牲がS&P500のたった24%の下落(通常の景気後退と比較しても小さな下落率)で、特に失業率に関しては全くの上がることのない無傷のままで事態が解決するとは思えません。
- 2022年から始まった金融引き締めが引き起こす消費の鈍化、企業の業績悪化、失業率の悪化はいつ頃問題視されるか。
- そもそも9%超えのインフレは、たった2%の政策金利で本当に抑えられるのか。(再びインフレが進むことはないのか)
まだ整理できていませんが、このままインフレがピークを超えて株価が上昇するという説を見ると、浮かんでくる疑問がいくつかあります。