9月17-18日のFOMCを前に、最後の公の場としてFRBパウエル議長がスイスでパネルディスカッションに参加しました。
「経済成長の持続へ適切に行動する」と7月のFOMCでの政策金利引き下げ前と同じ発言を繰り返して、時期の明言はなかったものの利下げげを示唆する発言をしています。
パウエル議長の発言に大きな変化はなかったことから、市場は引き続き9月18日で小幅な0.25%の利下げをすると見ているようです。
パウエル議長の発言
さて、アメリカの経済の舵を握る重要な役目を担っているパウエル議長は、今の世の中をどのようにみているのでしょうか。各メディアが報じている、パウエル議長の発言をまとめてみました。
- 米国も世界もリセッション*は予想していない。(*GDPマイナス成長が2四半期連続すること)
- 米国・世界ともに緩やかな成長の継続が最も可能性が高いが、「著しいリスク」に注視している
- FRBは景気拡大を維持するために引き続き適切に行動する
- 米国の雇用の力強い。討論会前に発表があった8月雇用統計はそれを表している。
- 米国の個人消費も力強い。一方で、貿易問題の影響で生産部門は弱さがみられる。
この中で、いくつか気になった点をあげていきます。
米国も世界もリセッションは予想していない
「リセッションを予想していない」と明言するとあたり、まだまだアメリカも世界も景気後退には程遠いという認識なのでしょう。
アメリカは経済指標を見る限り、景気後退があるとしてもかなり時間がかかると思っていましたが、FRB管轄のアメリカは十分に景気後退を回避可能で、世界経済の景気後退もまだまだという認識なんですね。
世界の製造業は、既に景況感が悪化している数字が出ていますが、まだまだ製造業以外に波及するまでには時間がかかるのかも知れません。
アメリカ製造業の悪化、重要指標ISM製造業指数は3年ぶり50割れ。
景気後退について毎日調べていくうちに、私はリセッションが起こる確率を大きめに見積もってた可能性があります。このへんは改めたいと思います。
貿易などの地政学的リスクを「著しいリスク」と発言
米中の貿易問題、イギリスのユーロ離脱、香港のデモなど地政学的リスクに事を欠かない2019年ですが、これらには「著しい」リスクがあると見ているようです。
これらの問題は景気の悪化を招きますが、FRBがどれだけ金利を下げて景気へのダメージを緩和しても、問題を直接解決できるわけではない点がまた難しいです。
パウエル議長も19年8月のジャクソンホールでの講演で「今の世界情勢は前例になる見本がない」と、最近の政治・社会問題にFRBが打てる手が限られていることを認めています。
9月利下げを暗に示すも、貿易への対応に苦慮がにじんだFRB議長講演。
利下げの用意があることを示唆
そんな中でも、「景気拡大を維持するために引き続き適切に行動する」と利下げを示唆する発言が出たことに市場は一定の安堵感を得たと思います。
パウエル議長は利下げ時期は明言しなかったものの、市場は9月18日に小幅な0.25%の利下げをするとみているようです。
次のイベントは9月17-18日のFOMCです。投資家としては、利下げしようとしまいと見守ることくらいしかできませんが、注視したいと思います。