P&Gはここ最近、調子を上げているようです。
私はP&Gの株を2013年から買っていたのですが、「このまま眠って目を起こさなかったらどうしようかな。眠れる獅子ではなく、ただただよく眠るネコだったら困るなあ」と不安になる時期が5年以上続きました。しかし、その問題の株価も2018年半ばからちゃんと上昇気流に乗っています。
2019年6-9月期(2020年度第1四半期)のP&Gの決算が発表されましたが、前期に引き続きアナリスト予想を超えて近年の順調なP&Gの姿を市場に見せつけることになりました。
- 一株利益:1.24ドルの予想を上回る1.37ドル
- 収益:174.2億ドルの予想を上回る178億ドル。
2020年度の売上成長見通しも3-4%から3-5%引き上げられ、同時に一株利益の増加も4-9%から4-10%に上方修正されています。
いい感じですね。近年のP&Gはデイビッド・テイラーCEOが指揮をして、ブランド数を175から65へと大幅に削減し、その過程で事業譲渡や工場廃止などを積極的に推進していきました。その効果が現れています。
(為替や買収・売却の影響を除いた)オーガニックセールスは2019年1-3月期の5%増、4-6月期の7%増に続いて、7-9月期も7%成長しています。何の変哲もない生活必需品の既存製品売上でこれだけ成長しているのは、立派です。
P&Gの製品カテゴリをおさらい
部門別に売上を見る前に、P&Gの部門説明に触れておきます。既にP&Gに詳しい方は、さらっと次の流しておいて下さい。
P&Gは以下5つに製品カテゴリーが別れています。
- Beauty:ヘアケア(シャンプーやスタイリング)とスキンケア(美容・化粧品)を扱う部門。ブランドはパンテーンやSK-IIなど。
- Grooming:シェービングを扱う部門。ジレットやブラウン等がある。
- Health Care:オーラルケアとパーソナルヘルスケア(ビタミン、サプリメント、のど飴)を扱部門。代表ブランドはオーラルBとのど飴のビックス。
- Fabric & Home Care:ファブリックケア(洗剤やファブリーズ)、ホームケア(食器洗い洗剤、掃除用具)を扱う部門。代表ブランドはアリエール、ジョイ、ファブリーズ。
- Baby, Feminine & Family Care:幼児や女性、家族向け製品を扱う部門。ブランドはパンパースなど。
そのうちの主要な製品な洗剤やファブリーズなどの「Fabric & Home Care」と、パンパースなどの「Baby, Feminine & Family Care」です。
P&G部門別売上構成比(PG公式サイトより):
なお、P&Gの部門紹介については、こちらの公式サイトでより詳しく説明があります。
P&G AT A GLANCE – P&G
好調を牽引した美容とヘルスケア
さて、2019年6-9月期の売上ですが、為替や買収・売却の影響を除いたオーガニックセールスで目立った成長を見せたのはビューティ、ヘルスケア、ファブリック&ホームケアでした。特にSK-IIなどで有名なビューティについては前年比10%の成長を見せています。
カテゴリ | オーガニックセールス成長率 |
---|---|
Beauty | +10% |
Grooming | +1% |
Healthcare | +9% |
Fabric & Home Care | +8% |
Baby, Feminine & Family Care | +5% |
Total P&G | +7% |
グルーミングはライバルに押されてやや苦戦
一方で、振るわなかったのはヒゲ剃りのジレットなどを含むGrooming製品です。こちらは、ユニリーバが2016年に10億ドルで買収したダラーシェイブクラブなどライバルとの競争にやや押されています。
ダラーシェイブクラブは毎月1ドルで剃刀の刃を交換するサブスクリプションビジネス(定額制ビジネス)を手掛けている面白い会社です。やはり流行りはこうしたサブスクリションビジネスなのでしょうか。新しいサブスクリションのアイディアを生み出して、いち早く顧客を囲ってしまうと、従来型のビジネスはなかなか不利な状況にたたされてしまいます。
一部、Grooming製品では成長が鈍化しているものの、P&Gが進めるブランド絞り込みは引き続きうまく言っている姿が見えた決算でした。今後もまだまだ持続的な成長を期待したいと思います。