予想を上回ったペプシコの業績、インフレの悪影響はまだ見られず【21年6-8月期決算】

ペプシコの2021年6-8月期(2021年第3四半期)の決算が発表されました。

この決算を前に、アメリカで急上昇しているインフレの影響を受けて利益が予想を下回ったり、予想をより低い利益見通しを出したりするのではと私は少し心配していました。

たしかに、利益見通しは予想を下回りましたが、市場の投資家はあまり気にしていないのか、株価は上昇しています。

インフレでコストが上昇して利益率が下がっていないかも見てみましたが、少なくとも6-8月期はそれほど大きな利益圧迫ではありませんでした。

来期の売上見通しも引き上げているところを見ると、ペプシコのビジネスは順調にいっているように見えました。

この記事のポイント

• ペプシコの2021年6-8月期は売上も一株利益も予想を上回る出来だった。
• 一株利益の見通しはアナリストの予想に届かなかったが、売上(オーガニックセールス)の見通しが引き上げれた点は好印象だった。
• インフレによるコスト増加で利益が圧迫されていないかが気になったが、6-8月期の業績にはそれほど大きな影響は見られなかった。

予想を上回ったペプシコ

この記事を書いている時点で私はペプシコ株は保有していないのですが、とても安定感がある銘柄で、いつか買いたいと思ってずっとウォッチしています。

2021年の第３四半期(6-8月)の決算も発表になりましたが、いつもどおりにちゃんとアナリスト予想を上回る結果を残していました。

• 売上：$20.19B(予想$19.39B)※Bは10億
• 調整後の一株利益：$1.79(予想$1.73)

毎回のように決算で予想を超える結果を残すと、投資家の評価も上がって株価も上昇しやすくなります。

その点、ペプシコは2019年になってからすべての決算で予想超えの結果を出しているので、とても優秀です。

売上を見てみると、さすがにコロナからの反動が大きかった前期ほどは伸びていませんが、前年比+12%でコロナ前よりも大きな伸びが続いています。

営業利益の伸びはやや鈍化しましたが、前年比+5%ならコロナ前でもよく見られたものなので、それほど問題はなさそうです。

ペプシコの好調と不調を判断するには、オーガニックセールス(買収や為替の影響を除いた売上)を見ると良いと言われますが、こちらも好調でした。

2021年の業績見通しを引上げ

2021年は今まで好調が続いていたこともあって、ペプシコは2021年の通年の業績見通しを引き上げるとの発表もありました。

• オーガニックセールス：従来見通しの前年比+6%から+8%へ引上げ

オーガニックセールスの業績見通しの引上げが好印象だったのか、一株利益の見通しは予想を下回っていたのですが、株が売られる材料にまでには至りませんでした。

• 2021年一株利益見通し：$6.20(予想$6.24)

コロナの影響はかなり薄まった

今期のペプシコの売上成長率を見ていると、コロナの影響がかなり薄まったなと感じます。

思い返してみると、新型コロナが流行した2020年前半はレストランやスタジアムが閉鎖してドリンク売上が急減して、かわりに在宅時の食事のシリアルの売上が急増する動きが見られました。

その反動で、今度は1年後の2021年前半はドリンク売上が前年に比べて大きく伸び、シリアルの売上が下がる動きも見られましたが、今回の第３四半期はだいぶ売上成長率が普段どおりに落ち着いた印象があります。

蛇足ですが、さきほどペプシコが2021年のオーガニックセールス成長率の見通しを引上げた話をしましたが、上の図を見ると、売上規模が大きい北米でのドリンクが2021年は好調だったことが背景にありそうです。

まとめ

この記事では、相変わらず業績の良かったペプシコの2021年第３四半期の決算を取り上げました。

この決算の前に、アメリカではインフレがだいぶ進んでいるので企業の利益を圧迫していないかが気になったのですが、6-8月期のペプシコに関してはそれほど大きな影響が出ていなかったようです。

念のために利益率の変化も出してみましたが、営業利益率は1%減っただけにとどまりました。

単位:10億ドル	21Q3	20Q3	前年比
収益	$20.2B	$18.0B	+12%
営業利益	$3.2B	$3.0B	+5%
営業利益率	15.6%	16.6%	前年から1%減

安定しているとは言え、今のペプシコ株はやや割高なのでそれほど魅力はないのですが、10年を超える長期目的の投資であれば、安定性は高いので買っても良いと思いました。