ペプシコの7-9月決算(9月5日締め12週間分の決算)が発表されました。
結果はかなり良かったです。収益、一株利益、オーガニック成長率(買収・売却・為替の影響を覗いた成長率)、ガイダンス(業績見通し)すべてアナリストの予想を上回る結果を残しました。
振り返ってみると前回のペプシコの決算でも、新型コロナウイルスの流行でレストランでのドリンクの売上が落ち込んでいましたが、予想ほど業績は悪化しませんでした。
ペプシコ、スナック菓子とシリアルが好調で予想を超える決算【2020年4-6月期】
アメリカ経済が大きく低迷したと言われている20年4-6月期ですが、ペプシコの決算は予想していたよりも、利益も収益も良かったです。決算発表直後は市場も株高で反応しました。また、買収や為替の影響を除いた売上成長(オーガニックグロース)は前年からマイナス成長になってしまったものの、予想よりもマイナス幅はずっと小さくすみました。
今期は業績が再びプラス成長に戻って内容が良くなっています。2020年は苦しい中でも、ペプシコは検討していると言えそうです。
- ペプシコは好決算だった。一株利益、収益、オーガニック成長率、ガイダンスすべて予想を上回る内容だった。
- 前期は売上がマイナス成長に沈んでいたが、今期はプラス成長に回復した。オーガニック売上成長率もコロナ前の水準に戻った。
- 北米のドリンクの売上が回復した他、前期のコロナ特需が見られたシリアルの売上成長が鈍化してきた。ペプシコの売上が通常時に戻ってきていることを印象づける内容だった。
成長率はそれほど大きくなく、株価も適正な値段がついているので、大化けする銘柄ではありません。しかし、48年も連続して配当を増やしてくれる連続増配銘柄なので、「打ち出の小槌」として保有する分には、とても良い銘柄だと思います。
好決算だったペプシコ
ペプシコの決算はかなり良かったと思います。決算で発表された数字は、すべてアナリスト予想を超えるもので、文句なしで好決算でした。
- 調整後一株利益:1.66ドルで、予想を0.17ドル上回る。
- 収益:$18.09Bで、予想を$0.85Bドル上回る(前年比+5.2%)。
- オーガニック成長率:4.2%(予想は+1.6%)
- 20年度ガイダンス:オーガニック成長率+4%(予想+1.23%)、一株利益$5.50(予想$5.37)
単位:10億ドル | 3Q20 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | $18.1B | +5% |
営業利益 | $3.0B | +5% |
純利益 | $2.3B | +9% |
調整後一株利益 | $1.65 | +11% |
上の表を見ても、収益も利益もプラス成長でキレイな数字が並びます。特に、収益は前回は新型コロナウイルスの影響を受けて前年比マイナス成長に落ち込んでいたのが、早くもプラス成長に回復したのは良いことです。
営業利益もプラスに転じていて、良い感じです。
欲を言えば、この銘柄の営業利益はもっと安定してプラス成長を描いてほしいのですが、それは今後の課題になりそうです。
部門別売上
ここからは好調の要因を探るために、部門別売上を覗いてみます。
ペプシコの売上を確認する時に、以下3つの製品ブランドが出てきますので、どんな製品を持っているのかをおさらいしておきます。
ペプシコ製品ブランド
- ペプシコ:非アルコールドリンク。ペプシコーラ、トロピカーナ、7up、紅茶のリプトンなど。
- フリトレー:スナック菓子。代表商品名はドリトス。
- クエーカー:見た目がコーンフレークにそっくりな、オートミールと呼ばれるシリアル食品を提供。
売上(100万ドル) | 売上 | 前年比 |
---|---|---|
北米-フリトレー(スナック) | 4,399 | +7% |
北米-クエーカー(シリアル) | 608 | +6% |
北米-ペプシコ(ドリンク) | 5,958 | +6% |
ラテンアメリカ | 1,654 | -13% |
ヨーロッパ | 3,323 | +3% |
アフリカ・中東・南アジア | 1,252 | +31% |
アジア太平洋 | 897 | +15% |
合計 | 18,091 | +5% |
上記の表だけ見てても、何が調子をあげたのかいまいちよくわからないので、今期(7-9月)と前期(4-6月)の成長率を比較してみることにします。
売上成長率 | 7-9月期 | 4-6月期 |
---|---|---|
北米-フリトレー(スナック) | 7% | 7% |
北米-クエーカー(シリアル) | 6% | 23% |
北米-ペプシコ(ドリンク) | 6% | -7% |
ラテンアメリカ | -13% | -17% |
ヨーロッパ | 3% | -9% |
アフリカ・中東・南アジア | 31% | -1% |
アジア太平洋 | 15% | 10% |
合計 | 5% | -3% |
成長率が大きく改善しているのは、「北米のドリンク」、「ヨーロッパ」、それに「アフリカ・中東・南アジア」のようです。
特に、北米のドリンクとヨーロッパの売上はペプシコ社のかなりの割合を占めるので、この2つの成長率がマイナスからプラスに転じた点が好成績につながっているようです。
ちなみに、北米のフリトレー(シリアル)の売上成長率は、前期の急成長から落ち着いています。前期は巣ごもり需要でシリアルが売れましたが、今期は成長率が鈍化したことからも、北米の売上が通常時に戻ってきていることがわかります。
さいごに
この記事では、ペプシコの2020年7-9月期の業績を確認していきました。
今回の決算は控えめに言っても良い決算だったと思います。前期で売上がマイナス成長に転落してしまってから、元通りの一桁半ばの売上成長率に戻るまでには何新半期かかるかと思ったのですが、わずか1四半期で+5%の売上成長にまで業績を戻してきました。
ペプシコ株は2020年10月時点でほとんど適正価格か、もしくはわずかに割高になっているだけ状態なので、今なら割高感のあるS&P500よりもリターンをあげられる投資先になるかも知れません。
ただ、冒頭でも言ったように大化けする要素はないので、ペプシコを保有するなら目的はあくまでも「資産を安定して増やすため」になりそうです。