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「こんなはずではなかった!」の投資判断ミスを減らすには。

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気分に左右される判断

『何もしない贅沢』という言葉があります。

私は結構これが好きで、夜とかに焚き火がただ燃えているだけの動画をずっと見ることがあります。パチパチと木の焼ける音を聴くと妙に臨場感があって本人は割と楽しんでいるのですが、傍から見ると「ただ疲れる人間」と紙一重ですね。

ちなみに、ノルウェーの公共テレビNRKでは、8時間焚き火が燃える様子だけを放送したり、船から見えるノルウェーの景色を長時間に渡って放送するスローテレビで人気を博しています。特に、後者の番組では、船に載せた複数台のカメラの映像をテレビで生配信するだけの番組ですが、8040分(134時間!)もの時間生配信した結果、500万人いるノルウェー人の中で320万人が視聴した大人気番組になっています。

世界で一番退屈なテレビ番組がやみつきになる理由(TED)

話は戻りますが、でも確かに、投資をするというのは結構疲れることなのかもしれません。毎日毎日、株やらお金やらの話ばかり考えていたのでは、さすがに心も疲れます。

そういえば、ウォール街も土日は市場を開けずに『何もしない日』を設けています。本当なら、デパートのように土日なく市場を開ければ、今よりも儲けられるはずなのに、それをしないのは休みが必要だからなのでしょう。

人は、その時の気分で行動も左右される生き物です。同じ人間が同じニュースや情報に触れたとしても、その時の精神状態によって情報の受け取り方や解釈が変わるため、疲労が蓄積した状態で受け取った情報を元に行う判断が、投資に悪影響を及ぼすことは十分にあります。

強制的に休みを作る仕組みがあることは、とても意味のあることなんだなとふと思いました。

ふんわりと、疲労が人の判断に与える影響について触れましたが、様々な判断を求められる投資家として「人の判断が何によって左右されるか」を知識として知っておくのは面白いと思います。それを知ることでわずかでも、投資の判断ミスを少なくすることも出来るはずです。

ここからは古い話になってしまい恐縮ですが、マーケティングの領域研究してきたP&GとGoogleはこの分野で面白い調査をしているので、2つほど紹介したいと思います。

P&G:人の判断は、商品を目の前にして3-7秒で決まる

まだテレビCMなどマス広告が全盛期だった頃、企業のマーケッターは「消費者はテレビや新聞などの広告を見てどの商品を購入するかを決めていて、店頭でマーケティングをしても効果がない」と信じていました。

その常識に風穴を開けたのが、世界一マーケティングに力を入れている企業として有名なP&Gです。P&Gは消費者が商品を購入する行動を徹底的に調査した結果、消費者はお店の陳列棚の前に並べられた商品をみて、最初の3秒から7秒でどの商品を購入するかを決めていることが多いことを突き止めました。

消費者が商品を前にしてどの商品を買うかを決定するこの瞬間はFMOT (First Moment of Truth)と呼ばれます。この結果がわかってから、企業は商品パッケージデザイン刷新をしたり、今では販売店舗にスタッフを派遣してPR方法のコンサルテーションを行うなど様々な努力をすることになるのですが、P&Gのこの調査結果によって、人々は従来考えられていたよりも「事前に与えられた情報」ではなく、「目の前の情報に瞬間的に影響を受ける」ことを世に知らしめることになりました。

これは投資家の皆さんも経験があるのではないでしょうか。自分が注目している企業の株価が勢いよく上がっていく様子をグラフで見たときに、たった3-7秒でその企業の評価が急に変わったとしたら、それは「目の前の情報に影響を受けている」のかもしれません。

Google:事前情報の比較検討が店頭での衝動的判断を減らす

しかし、P&Gが調査を実施していたテレビや新聞のマス広告が全盛だった頃から時代も移り変わり、インターネットが世の中に普及するようになると、消費者の購買行動も変化が生じます。

Googleは、スマホ世界的な普及したばかりの2011年に「FMOTは未だに重要だが、インターネットが普及したことで、お店の商品棚に行くよりもずっと前に商品と消費者間の接点が生まれるようになった」と発表しています。そして、このネット上の新しい顧客接点をZMOT(The Zero Moment of Truth)と呼んで、新たな概念を提唱しました。

また、このGoogleの概念の提唱を支持するかのように、現在の消費者の83%は店舗に入る前に購買の意思決定をしているとの調査結果もあります。(IRI調べ)

P&Gの調査とはまるで反対の調査結果ですが、その過程はこうです。インターネット普及以前は、消費者が得ることが出来る情報はCMなどの商品認知に限られ、商品比較は実際の店舗でわずか数秒の間に衝動的に行われていました。

しかし、インターネットが普及すると口コミサイトなどあらゆる情報がインターネット上で得られるようになり、商品比較をネット上で済ました上で店舗に行くことが多くなり、店舗での衝動的な判断が減ったと言います。

購入前に情報をしっかりと集めて比較・検討することで、衝動的な判断が減ることを示すいい例だと思います。直近の株価の変動(商品棚の商品情報)で衝動的に買うことなく、事前に比較検討して購入に値すると判断できる銘柄を買うように心がけたいと思います。


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