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予想以上に強かったPCEデフレーター、年内利下げ予想は多数派でなくなる。

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1月のアメリカのインフレが強かったことを示すデータが、また一つ発表になりました。

PCEデフレーター(PCEインフレ)と呼ばれるこのデータは、FRBが重要視しているのですものなのですが、1月分の数字は予想以上に強かったです。

1月分の経済データの発表はほぼ出揃いましたが、あらゆる数字で消費の強さとインフレの根強さを感じさせる結果になりました。

この記事のポイント

  • FRBも注目のPCEインフレは予想を上回る大きな伸びを見せた。
  • 過去3ヶ月分のPCEインフレの伸びは、インフレの勢いがまだ強いことを示す。
  • 金利先物市場では2023年内の利下げ予想が多数派ではなくなった。

予想以上に強かったPCEデフレーター

昨晩発表された1月のアメリカのPCEインフレですが、残念ながら強いインフレの伸びを示す数字でした。

  • PCEインフレ前月比:+0.6%(予想+0.4%)
  • PCEインフレ前年比:+5.4%(予想+4.9%)

前年比でインフレの変化を見てみると(下図)、せっかく2022年後半から下げ続けてきたPCEインフレは小反発したかっこうになっています。

これだけだとまだPCEインフレの低下傾向が続いているように見えるのですが、少し心配なの最近のインフレの伸びです。

下のグラフで直近3ヶ月のPCEインフレの伸び(年率:ピンク線)をグラフにしましたが、どうもインフレの伸びは微増傾向にあるように見えます。

少なくともインフレがきれいに落ち着いている印象は受けません。

この傾向はエネルギーや食料などの変化の大きい品目を除いたPCEコアインフレではさらにハッキリ現れています(下図)。

1ヶ月前に見えていた姿は様変わり

1ヶ月ほど前に同じような記事を書いたときには、今回とはかなり違う内容のことを書いていました。

>>PCEインフレ、直近3ヶ月は年率2%台のペースへ大きく鈍化

たとえば、1ヶ月前のブログで作成したPCEインフレのグラフは以下のようにインフレ鈍化を示していました。

今回のデータは1月の数字が強かっただけでなく、季節調整が大きく働いたのか、過去数カ月分のデータの見え方まで大きく変わるものになってしまいました。

こんなに変化の大きな経済指標なら果たして信頼して使って良いものかとも思ってしまいますが、FRBが注目しているなら見ておく必要はあるのでしょう。

市場の2023年利下げ予想が多数派ではなくなる

今回のPCEデフレータの数字の発表の後に、前日まで予想されていた2023年内の利下げ予想は多数派ではなくなりました。

私は未だに2023年に利下げも景気後退もあると思っているのですが、予想以上にインフレの高止まりを感じさせる2月発表の経済指標の連発は、状況に合わせて素早く意見をかえる投資家の立場を変えさせるには十分だったようです。

私は根強いインフレを望んでいないので、これは困った展開です。

ともあれ1月分の経済指標はほぼ全て出揃いました。来週から始まる2月分の経済指標の結果しだいでは、まだアメリカのインフレの見方は変わりうるので、注意深く見ておきたいと思います。


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