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PCEインフレ、直近3ヶ月は年率2%台のペースへ大きく鈍化

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昨晩は12月のPCEインフレのデータが発表になりました。

2月のFOMCを前にした最後のインフレデータの発表でしたが、インフレは引き続き鈍化傾向で問題ないと思います。

それもインフレ2%を目指したかなり順調なペースでのインフレ鈍化になっています。

この記事のポイント

  • 12月のPCEインフレのデータはほぼ予想通りだった。
  • 直近3ヶ月のPCEインフレは年率2.1%ペースとなっており、急速にインフレは鈍化している。
  • 2月のFOMCは0.25%の利上げが予定されている。これ以上の利上げは引き締めすぎの心配が出てくる。

鈍化が見られるアメリカの物価

FRBが注目しているインフレ指標(PCEインフレ、PCEコアインフレ)が発表されたので数字を見ていきます。

(※コアインフレには変動の大きいエネルギーと食料品の価格を除いたものが対象になっています。)

  • PCEインフレ:前月比0.1%(予想0.0%)、前年比5.0%(予想5.3%)
  • PCEコアンフレ:前月比0.3%(予想0.3%)、前年比4.4%(予想4.4%)

結果はだいたいエコノミストの予想通りの内容でした。

この「予想通りの内容」というのが、何を意味しているのかを確認しておくのは良いかもしれません。シンプルに言うと、「予想通りの速いペースでのインフレ鈍化」です。

例えば、PCEインフレの最近の変化を下のグラフに書いてみましたが、前年比(赤線)はまだ5.0%ですが、直近三ヶ月間(ピンクの線)の変化は年率2.1%のペースにまで鈍化しています。

「物価が年率+2.1%」というのは、1年間このペースが続けば物価が前年比+2.1%になるペースです。

最近はかなり急速なインフレ鈍化を予想していて、実際にその通りにインフレは推移していることになります。このまま行けば、FOMCの見通しよりもだいぶ速いペースでインフレが低下することになりそうです。

PCEインフレ FOMC見通し(12月時点) 実績
2022年末 5.6% 5.0%
2023年末 3.1%
2024年末 2.5%
2025年末 2.1%

PCEコアでもインフレは大きく鈍化するペース鈍化

直近三ヶ月のPCEインフレが下がっているといっても、たまたま原油価格などの変動の大きなものが一時的に値下がりしただけかも知れません。

なので、変動の大きいエネルギー価格や食料品価格を含まないPCEコアインフレのデータも見てみたいのですが、こちらも最近3ヶ月は年率2.9%でインフレのペースが急速に鈍化しています。

これを見ても、インフレはかなり良いペースで落ちていると言えそうです。

2月FOMCは0.25%利上げへ

今回のPCEインフレを受けて、来週のFOMC(金融政策を決める会議)が始まります。

恐らく市場の予想通りに0.25%分だけ利上げすることになりそうです。現時点の市場予想はほぼ100%で0.25%の利上げを見込んでいます。

しかし、先程PCEインフレの変化を見てわかる通り、利上げをしなくても最近はかなり良いペースでインフレが落ちていることがわかります。

この良いペースでインフレが落ちているのに利上げをすることが、過剰な引き締めとならないかが次の懸念点だと思っています。

「懸念点」という単語を使ってだいぶマイルドな言い方をしましたが、本心ではFRBが引き締めすぎになることは確実だとも思っています。金融政策がインフレに影響を与えるまでには1年程度の時間がかかるので、2023年の利上げは既にインフレが十分低くなっているはずのアメリカでさらに低インフレ・低成長をもたらすはずです。

この動きはこれから1年以上かけて進むので、2023年は低インフレに強い債券や国債(日本国債を除く)の年になるはずです。


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