PCEデフレータというアメリカのインフレ率を示すデータの12月版が発表されました。
ニュースを眺めていると紅海での物流の混乱でインフレが上昇しそうな気配も感じますが、12月のPCEデフレータに関してはこれに影響されることなく順調なインフレ低下が見られます。
今回のデータを見ても、アメリカは前年比2%に向かって順調にインフレ率低下が進んでいると言えそうです。3月の利下げ開始は難しいかもしれませんが、年半ばには実現しそうな気配はあります。
この記事のポイント
- 12月のPCEデフレータは予想を下回る伸びで、アメリカの景気がまだ強いにもかかわらず、インフレ率は着実に低下していることを示した。
- FRBが気にしているPCEコアデフレータは安定して2%に向かって低下している。過去数ヶ月は2%を下回るペースの伸びが続いている。
12月のPCEデフレータでもアメリカの順調な低インフレが続く
12月のPCEデフレータはおおむね予想を下回る内容で、投資家も安堵する内容になりました。
- 前月比:0.2%(予想:0.3%)
- 前年比:2.6%(予想:2.6%)
特にFRBが金融政策を決める際に気にしているPCEデフレータのコアについては、前月比でも前年比でもどちらも予想を下回る伸びでした。
- コア前月比:0.2%(予想:0.3%)
- コア前年比:2.9%(予想:3.0%)
上のグラフを見ても、特に何の文句もなくインフレ率は順調に目標の前年比2%に下がっているように見えます。下記記事で事前に伝えた通り、いい感じではないでしょうか。
過去数ヶ月は2%を下回るペース
FRBはまだまだ利下げに慎重な姿勢を見せるかもしれませんが、個人的な味方としては既にかなり勝負あったと思っています。インフレは問題なく2%に向かいっています。
たしかにPCEコアデフレータが前年比2.9%という数字ではFRBは満足しないでしょうが、この半年の伸びは年率1.9%で既に2%を下回っています。
さらに、過去3ヶ月に絞れば年率1.5%と物価の伸びはかなり低水水準に留まっていることがわかります。この状態で政策金利5.25-5.50%というのは、高すぎるのではないかと私は考えています。
あまり高い金利を長い間維持していると、今度は低インフレという違う問題に見舞われる可能性も捨てきれないだろうと思っています。
最新のアメリカのGDPを見ても個人消費の強さを見てもアメリカ経済全体はかなり強そうに見えるのですが、少しずつ弱まっている雇用の弱まりや信用の低い人を中心に高まっているクレジットカードの延滞率を見ていると、それほどアメリカは盤石ではないように見えます。