1月のアメリカの個人消費はとても良かったです。
少し前に発表された小売売上高がすこぶる好調だったので、恐らく個人消費も1月は勢いよく伸びてくれるだろうと思っていましたが、想像通りでした。
一方で、1月はだいぶ貯蓄を削って消費をしてる姿も見られているので、このペースでは消費の強さはそんなに長続きしないと思われます。
これから先は賃金の伸びが物価を上回れないと景気鈍化やその先の景気後退が待っているということを再確認できた月になりました。
この記事のポイント
- 1月のアメリカの個人消費は極めて好調だった。
- ただし、懸念点は貯蓄をハイペースで削りながら消費をしていること。遅かれ早かれ、このままでは消費が息切れしてしまう。
- 今後は賃金の伸びが物価を超えないと、景気の鈍化や悪化は避けられない。
好調だった1月のアメリカ個人消費
2021年11月と12月に深く暗く低迷していたアメリカの個人消費ですが、1月は息を吹き返したようです。
12月の低迷の反動もあるのですが、1月は大きく消費が伸びました。
以前、小売売上高のデータが発表された時にも書いたのですが、この結果はひとまず安心できるものになりました。
もしも3ヶ月連続で個人消費が実質マイナス成長になるのなら、もしかして早くも景気後退(≒不況)が近づいてきたのかと、警戒しなければならないところでした。
そうなれば、2022年1月から下げている米国株の下落も10%ほどでは済まず、30%から40%下落の展開もチラついていたと思います。
今月の個人消費の回復を見る限り、景気後退が今すぐ差し迫っているわけではないようです。今の株価は軟調でもまだ2022年内のどこかで挽回するチャンスは残されていると思います。
油断は禁物
しかし、上げておいて落とすわけではないのですが、今回の個人消費の好調はそんなに長続きしないとも思いました。
今まではコロナ流行時のアメリカ政府からの現金給付もあって、大きな蓄えを背景に活発な消費が行われました。
しかし、その過剰な消費は今月で完全になくなったことが確認できました。
上の図はアメリカの個人貯蓄額をグラフにしたものですが、1月の貯蓄額はコロナ前の2019年のほとんどの月を下回るまで下がりました。なので、これ以上は貯蓄を大きく削って消費をすることは難しいと思います。
となれば、毎月の賃金の上昇がどれだけ消費を上回れるかにかかっています。
しかし、賃金の上昇はたまに物価の伸びを上回る月もあるものの、大きな傾向としては物価の伸びに負けています。
なので、1月の個人消費のデータを見ると「今すぐ」に景気後退に突入するような弱い景気ではないことは確認できたものの、このままではいずれ景気の鈍化や悪化は避けられないという状況は続いています。
恐らく、これからじわりじわりと景気の終盤に向かっていくはずです。