アメリカのGDPの大半は個人消費が占めています。なので、個人消費が活発かどうかはアメリカの経済にとっては重要です。
先日、2月の個人消費が発表されたので、この記事で振り返っていきます。
結果はあまり良くなかったと思います。最近では、アメリカの景気は鈍化している様子がさまざまなデータから見られています。
この記事のポイント
- 22年2月のアメリカの個人消費消費は予想を下回った。
- (名目では)消費が増えているように見えても、その要因は物価の高騰。前月からは実質でマイナスの成長になっている。
- 今すぐに景気後退を心配する必要はないが、今後のアメリカの景気低迷はメインシナリオになると考えている。
インフレで成長しているように見える個人消費
まず、インフレを含む(名目の)個人消費ですが、どうもエコノミスト予想(前月比+0.5%)を下回る結果だったようです。
- 名目の個人消費:前月比+0.2%(前月比年率+2.5%)
- 同予想:前月比+0.5%
上記の数字はプラスの成長率を維持していますが、インフレの影響を除いた(実質の)アメリカの個人消費を見てみると、こちらの成長率はマイナスに沈んでいます。
- 実質の個人消費:前月比マイナス0.4%(前月年率マイナス4.3%)
この2つの個人消費の数字を見比べると、見かけ上はアメリカの消費は伸びているように見えるのに、実はその成長率はインフレによるものだということがわかります。
やはり40年ぶりに高騰しているアメリカのインフレが景気に悪さをしているようです。
今はまだ景気後退とは言えない
ただ、前月からの消費の成長率が実質でマイナスになったからと言っても、既に景気後退に入っているわけではありません。
そもそもこの1年間を振り返ってみても、アメリカは何度が消費が実質マイナスの成長率になる月がありました。
上図のように実質でマイナス成長に沈む月はあっても、その他の月で成長してカバーできたので、今までのアメリカはちゃんと成長を遂げていました。
ただし、注意しておかないといけない点としては、最近のアメリカは四半期ごとに消費の勢いが衰えていることです。
次の図は四半期ごとの実質の個人消費の成長率(前期比)をグラフにしたものですが、成長率が衰えてきています。
なので、アメリカの景気はまだ景気後退に入っているわけではなさそうだが、今後も実質の成長率は四半期毎にますます低下していくのだろうと思います。
まとめ
この記事では、2月のアメリカの個人消費があまり良くなかったという内容を書きました。
一見して個人消費は(名目では)成長しているように見えても、高インフレによる価格上昇が主な理由で実質では成長できていないのは心配です。
成長率が前月比でマイナス成長になっているからと言って、すぐに「景気後退だ!」と結論づけるのはまだだいぶ早いですが、四半期ごとの成長率の鈍化傾向を見ても、アメリカの実質成長率鈍化はメインシナリオになるのだろうと思います。