レイ・ダリオという投資家をご存知でしょうか。
世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエーツの創業者で最高投資責任者の人なのですが、このブログでも何度か紹介している「30分で判る経済の仕組み」という動画を監修している人でもあります。
この動画は、経済をわかりやすく説明しているとてもいい動画です。難しい経済を、ここまでシンプルに説明できるのは、きっと頭の中がクリアだからに違いないと勝手に思っています。
レイ・ダリオは、この経済の仕組みに注目して、2007年のアメリカ経済が、世界大恐慌の1929年と似ている状況にあることに気づき、サブプライムローン問題・リーマンショックの株価下落を回避したことでも有名です。
そのレイ・ダリオは、2019年7月にアメリカが政策金利を引き下げた後にいつか訪れる世界では、今までの投資の常識が変わる「パラダイム・シフト」が起こると発言しています。具体的には、今まで10年ほど続いた株を買えば儲かる環境が次第に終わりを迎え、その後しばらくは金(ゴールド)が有望な投資先になるような世の中の変化が起こると発言して、注目を集めています。
英語と経済の双方に自信のある方は、こちらにレイ・ダリオが投稿した記事がありますので、本記事を読み終わった後にご参照下さい。
私は、英語も経済もどちらも専門外なので、正しい把握が出来ていない箇所が多々ありますが、何度か繰り返し読んで薄っすらとレイ・ダリオの言いたいことの輪郭はつかめた気がしたので、自分の言葉を交えつつ、本記事の下に内容をまとめました。
30分でわかる経済の仕組みも10回以上見ても新たな発見があるので、Paradigm Shifts (Ray Dalio)の記事も読み返して、新たな発見があれば、その都度記事を更新していきたいと思います。
レイ・ダリオがParadigm Shiftsで伝えたこと
レイ・ダリオよると、もっとも最近に投資の常識の変化(パラダイム・シフト)は2007年の世界的な金融危機だったと言います。
この金融危機以降、世界の中央銀行は株や不動産に優しい政策をとってきました。金利をゼロにまで引き下げて借金で資産を買いやすくした上に、国債を大量に買い込んで市場に資金を供給して「カネあまりの状態」を作り出し、結果的にその資金が株や不動産に向かっていくという環境が中央銀行主導で生まれました。
この金融危機以降の、投資の常識は「積極的に株などの資産に投資すれば儲かる」でした。
おかげさまで、SP500は2009年の底値から2019年7月までに4倍超になっています。S&P500は2019年7月に何度も最高値を更新していますが、まさに記録的な強気相場を10年もの間、中央銀行FRBが作ってきたことになります。
しかし、レイ・ダリオはこうした記録的な相場がずっとは続かないと見ているようです。低インフレや製造業界の弱含みを理由に、2019年7月にも利下げが行われる予定ですが、今度の利下げでは中央銀行が主導してきた株に優しい相場の力は徐々に効果を失い、株を中心としたリスク資産への投資は、良い投資にはならなくなる、と予想しているようです。
その仕組みはこうです。今2019年7月は、金利を引き下げ予想から株価が最高値を更新していますが、会社の利益の増加以上に株が上がっており、次第に割高で儲からない株が増えていきます。
しかし、世の中は債券や保険や年金をはじめ運用成績が悪くても、支払期限が来たら返済しなければならないものが存在します。多くの債務者は、元本を切り崩しながら返済する、苦しい状況が生まれ始めます。
こうした苦しい状況では、国内や国外で富を巡って争い事が起こりやすいです。争い事の費用の捻出のために国が借金をすれば、後々通貨の価値が下がります。このような世界では、現金や債券で資産を持っていても、価値は下がるため、より安全な例えば金(ゴールド)のような資産が好まれます。
だいぶ、話が長くなりましたが、レイ・ダリオの言っていることをまとめると、こうです。
2019年7月の以降の利下げでは、徐々に金融政策の効果が薄れ、株や不動産でも儲からなくなる状況が生まれるようです。これは、過去10年続いた「株を持っておけば、もうかる世界」という考え方が通用しなくなる世界で、歴史を見ても争い事など政府が貨幣価値を下げるような事態が起こりやすくなるため、貨幣価値の減少に備えて、金(ゴールド)などを資産に加えるのが一つのアイディアだと言っています。
重要なことを伝え忘れていましたが、レイ・ダリオはこの変化が2019年7月から直ぐに起こるかどうか、またいつ起こるかどうかはわからないと言っています。
10年で変化していく投資の考え方の変化なので、長い時間をかけてじっくりと株のリターンが減り、相対的に金の魅力が増していく可能性もあります。