米国株に関する情報を集めたり、アメリカの経済のデータを長期で眺めて少しずつ理解できるようになると、どんな投資家でも「今後の米国株はこうなるのかな」という見通しを自分なりに持つと思います。
あくまでも2021年12月現時点の私の個人の考えですが、どの時期に米国株はどのような動きをするのか、ざっくりとした見通しをこの記事で書いていきたいと思います。
この記事のポイント
- 数か月から半年後:まだ上昇する。数ヶ月で5%くらいのリターンを得たい投資家にとっては、米国株に投資できる。
- 半年から数年後:まったくわからない。アメリカの金融と財政がどう動くかで成長率とインフレ率が変わり、米国株にも影響を受ける。
- 数年後から10年間:控えめに言って我慢の時期が来ると思う。過去10年間続いた金融緩和の巻き戻しで米国株は低迷する。
- 20年から30年後:米国の長期的な成長に支えられて、米国株への長期投資は報われる。
数か月から半年後
これから数か月は、米国株の投資家にとっては少し嫌な動きが次々と起こります。
アメリカで金融緩和の縮小(テーパリング)が加速して、2022年半ばから政策金利の引き上げ(利上げ)が始まると見られていますが、どちらも米国株を押し下げる力が働きます。
でも、FRBも景気が急減速しないように考えながら利上げをするので、利上げてすぐに米国株への投資は終わるわけではなく、少なくとも2022年半ばくらいまでは株価は上昇するとも思っています。
S&P500などの米国株インデックスに投資するなら、半年で5%くらいのリターンは得られるかもというイメージです。
FRBが慎重に利上げをするという以外にも、米国株がまだ上昇する余裕があると考える理由はいくつかあります。
半年後から数年後
2022年から利上げが何回か進んだあと、2022年後半から数年の米国株がどう動くのかは、残念ながら今の私にはわかりません。
どれくらいアメリカの景気が維持できるかはFRBの金融政策とバイデン政権の動きよるからです。
これからアメリカはインフレ退治のために景気を冷やす利上げを進めることになりますが、景気の減速が鮮明になれば2022年のうちにもFRBは「(1)景気を優先して、利上げペースを落とすか」、「(2)景気を犠牲にしてでもインフレ対策を優先し、利上げを進めるか」の選択をしなければならなくなります。
この判断で、その後の米国株の展開は変わります。
- (1)景気を優先させる場合:景気も株価もコモディティもまだ伸びる。ただし、あとでより大きなインフレ、景気後退、株下落、ドル安の種が生まれる。
- (2)インフレ対策を優先させる場合:一時的に景気は急激に悪化。米国株、ゴールドなどあらゆる資産が売られる。
私の予想では、今までのパウエル議長とバイデン大統領の動きを見る限り(1)のほうが起こりそうな未来だと思います。
読みが難しいこの時期は株やゴールドだけでなく、現金も含めて広く資産を分散をさせてやり過ごそうと思います。
数年後から訪れる次の時代
リーマンショックやコロナショックをへて約10年間、アメリカでは金融緩和が続いて米国株は絶好調の時代が続きましたが、この時代はあと数年から長くても5年程度で終わると思います。
インフレとの戦いの中で金融緩和が終わるのか、それともインフレを止められずにドル安が起こって金融緩和をやめざるを得なくなるのかわかりませんが、控えめに言ってこの時期から米国株は我慢の時代に入ると思います。
以下は米国株S&P500をゴールドの価格で割ったグラフですが、米国株が不調な時代と金融緩和が続いて米国株が好調な時代が繰り返されています。
過去10年は大規模な金融緩和で上昇した米国株ですが、次の時代に金融緩和が巻き戻されれば10年ほど低迷する時代がくると思います。
どんな投資先にも良い時期と悪い時期があるものなので仕方ありません。
この時期には「米国株のインデックス投資で長期投資が最強」という人はいなくなると思いますが。本当はこういう時代こそが長期投資のチャンスになるはずです。
20年から30年後
低迷した時代も終わり20-30年後になれば、結果的に米国株は大きく上昇していると思います。
アメリカの大学や企業があらゆる分野で最先端を走っていて1つの国として強いのはもちろんですが、世界中の先進技術を持った企業が上場して集まる米国株市場はやはり長期的に強いと思います。
- (1)あらゆる分野の最先端の技術開発がアメリカの大学や企業を中心に行われている。
- (2)アメリカ国内企業はもちろん、世界中の先進技術をもった企業が、大きな資金を求めて巨大で自由な金融市場のアメリカで上場する。
実は中国は(1)はかなり活発に行われています。人工知能の一部の分野では、アメリカ企業よりも中国企業のほうが高い技術を持っていると言われるくらいです。
しかし、世界の企業が集まる自由で巨大な株式市場という面(2)では、中国よりもアメリカのほうが分があるように見えます。