先日、2020年9月時点で見えている株・国債・社債・ゴールド・不動産のそれぞれの資産の下落要因(リスク)を見ていきました。
現時点で見えている株・債権・ゴールド・不動産への投資のリスク
この記事では2020年9月の時点で株や国債などの資産に見え隠れている将来のリスクを列挙していきます。アメリカが歴史的な規模の金融緩和を勧めて資産価格は上昇しましたが、今後はこの高い価格が下落するリスクがあらゆる投資先で存在します。
上の記事を読むと、「どの資産も今後大きく下落する要因ばかりじゃないか!」と思われるのですが、それらの下落シナリオはすべて同時に起こるわけではありません。
発生するタイミングを整理することで、うまく行けば難局をかわせる道が見つかるかも知れません。
この記事では、あくまでも私個人の意見ですが、短期・中期・長期で「きっとこんな順番で、こんなことがアメリカで起こるのだろう」という順番の整理をして、どの時期にどんな投資をするつもりかを書いていきます。
この記事のポイント
- 【短期(1年以内)】:20年9月に見られた株価の調整は今後もあるかも知れないが、中央銀行のFRBには策が残されているので下落幅は大きくならないと予想。中期での企業利益回復を見越して、コロナでダメージを受けた株を中心に購入予定。
- 【中期(1-3年以内)】:アメリカ企業はコロナの経済的なダメージから回復すると予想。短期の時期に仕込んだ株の上昇を待つ時期。ただし、米国株は歴史的な高値圏なので、上昇したものから順に売却して株から距離をとる必要があるかも知れない。
- 【長期(3年以上先)】:FRBの金融緩和がなくなった後は、株価に大きな価格下落が起こるかも知れない。この時、アメリカがデフレかインフレかで対応が異なる。デフレなら現金比率を高めて資産を守る、インフレなら米国株を売ってゴールド・不動産にも投資。
短期(1年以内)
2020年9月上旬に、今まで好調だったハイテク株を中心に株価が下がる場面がありましたが、今後も同様の下落が何度か発生するかも知れないと思っています。
ただ、恐らくこの下落は一時的なものに終わります。理由は米国株は米国債に比べたらまだ相対的には割安で、株に資金が流れやすい環境がまだ続いていること、またアメリカには株の下落を止めるための金融緩和の余地がまだ残っていてるからです。
2020年9月の米国株の下落が一時的だと考える理由。
9月現在では米国株はやや割高ですが、国債よりは投資先として魅力に見えます。この9月上旬は株は売られてますが、次第に相対的に魅力的な株に資金が移り、株の下落は一時的に終わるのではと考えています。
日本は「長期金利の目標値を設定して国債を買い入れる作戦(イールドカーブ・コントロール)」や、「中央銀行が株を購入する作戦」などを既に何年もやって株価を支えていますが、アメリカFRBにはこれらの選択肢がまだ残っています。
ただし、「既に米国株はバブルなのでは?近いうちに一時的ではない大きな下落があるのでは?」という考えがあるのもわかります。
私はFRBが金融緩和を続けている限りは米国株は高値を維持すると思っていますが、既にバブルだと考えるなら、早々に米国株からは手を引くのも一つの判断だと思います。
FRBがはじめた10年超えの株高は、いずれFRBが終わらせる。
中央銀行FRBの金融緩和に頼って株価が上昇している構図は2009年以降変わらず、まるで新型コロナウイルスの下落は10年続く株高トレンドの中の一時的な下落だったようにも見えます。FRBのおかげで10年続く株高トレンドが始まりましたが、このトレンドを終わらせるのもまたFRBなのかなと思い始めています。
この時期の投資先
今後はコロナでダメージを受けたアメリカ企業の利益が回復すると見込まれているので、これらの企業利益回復を見越して、コロナでダメージを受けた株を中心に購入しようと思っています。
具体的には、エンタメ(ウォルト・ディズニーなど)・航空・ホテル・銀行・エネルギーの中でも比較的経営が健全な企業や、割高でないなら広告ビジネスで売上が落ち込んだGoogleやフェイスブックも投資対象になりうると思っています。
ただし、20年の秋から冬にかけて新型コロナウイルスが再流行した場合には、これらの銘柄は再度大きなダメージを負う可能性があるので、コロナで追い風が吹いた銘柄も一部残しておくか、機敏に銘柄を売買できる投資家なら再流行の兆しと共にコロナで恩恵を受ける銘柄に素早く入れ替えるのも手です。
また今後1年以内は、企業の倒産の連鎖が発生しないかにも注意が必要そうです。2008年9月のリーマンショックは2007年12月の景気後退入りから9ヶ月後に起こっているので、2021年前半まで油断できません。
中期(1-3年以内)
2021年半ばから数ヶ月、長くて1年前後は米国は高値を維持できると思っています。
アナリストたちは2021年半ばにアメリカ企業の利益がコロナ前に戻ると予想していますが、雇用は企業利益よりも回復が遅れる見通しです。
一方でFRBは雇用が回復するまで年単位で金融緩和は続けると言っているので、2021年後半は企業の利益がコロナ前に回復しつつも、株高を支える金融緩和はしばらく続く時期になりそうです。
個人的にはこの時期までは、株に強気で良いと思っています。
この時期の投資先
この時期は新規で投資をするよりも、今までの投資を回収する時期になると思います。
ひょっとするとバブルのような株価上昇が起こっているかもしれません。が、やることは他の投資家が次々と含み利益をあげていることを祝福して、自分は投資のステージから少しずつ降りることです。
もしくは企業利益がコロナ前に戻る前に、株価が高値に耐えきれずに下落して逃げ遅れる状況になるかも知れません。その場合でも、ダメージを減らすため、ある程度はゴールドなど他の資産を保有しておきます。
長期(3年以上先)
FRBの金融緩和が終わった後に、どこかで米国株と米国債の大きな下落があると思っています。
ただし、この下落がいつどのような形で起こるのかは、正直わかりません。
FRBが株高を牽制する発言をしても、利上げを実施しても株価が上昇する2000年のITバブルのような熱狂が起こるかもしれません。この場合は上で話したように株から距離をとり、現金比率を引き上げればダメージをいくらか減らせるはずです。
もしくは、インフレ率が5-10%の規模で急上昇して、株のリターンがインフレに負けるようになるのかも知れません。この場合は、資産を現金のままで保有していると毎年5-10%資産が減っていくので、ゴールドや不動産に投資して資産を守る必要が出てきます。
注目はインフレになるかどうか
2020年はアメリカ政府とFRBが大量に世の中にドルを供給したので、多くの投資家がアメリカのインフレ率は今後上昇すると予想しています。
私もインフレを恐れてゴールドを保有していますが、アメリカのインフレはまだ約束された未来ではない気もします。
インフレ率が上がらない場合の理由
- 日本のように銀行・企業・個人がお金を貯め込んで、実体経済で資金が回らない場合にはインフレ率は上昇しない。
- FRBの金融緩和が本当なら潰れる生産性の低い企業を存続させて、低成長・低インフレになる可能性もある。
長期的にはインフレ率が上昇する確率のほうが高いと思ってゴールドを保有していますが、今後はまだインフレにもデフレにもどちらにもなりうる状況です。
インフレが進行しない場合にはインフレ期待で歴代最高値まで上昇していたゴールドは売られることになるので、世の中の様子を見ながら柔軟に対応したいと思います。