NY連銀から10月の製造業の景気の強さが発表されました。
「別に製造業の株に投資していないからいいや」と言って、見逃してしまうのは少しもったいない気がします。
このNY連銀製造業指数は製造業だけにとどまらずアメリカ企業全体の利益成長と関係しあっているので、数字を確認しても損はなさそうです。
気になる結果ですが、残念ながら10月のNY連銀製造業指数は悪かったです。
この記事のポイント
- 10月のNY連銀製造業指数は景気悪化を示すマイナス圏が続いている上に、予想も下回った。
- S&P500企業の一株利益成長とも関連が高いNY連銀製造業指数の低迷は、企業利益のマイナス成長が近いことを示唆している恐れがある。
- このことは、株のアナリストたちが見込んでいる強気な予想とは異なる。
低迷が続くNY連銀製造業指数
10月3日から11日にかけてNY連銀が調査した、製造業の景気指数が発表されたので数字を見てみます。
- 予想:マイナス4.2
- 結果:マイナス9.1
この値がマイナスを記録すると前月よりも景気が悪化していることを示すのですが、2022年は毎月のようにマイナス圏に沈んでいます。
これまで10回の発表でマイナスを記録したのは7回で、だいぶ苦しい状況が続いています。
全体の傾向としても2022年は右肩下がりの状況が続いています。
アナリスト予想では10月以降に企業利益は上向くはずだが
冒頭でも話をしたように、NY連銀景況指数やISM製造業指数といった景気指数は企業の利益成長と連動して動くことが多いです。
次のグラフはNY連銀景況指数とS&P500の一株利益成長(前年比)を比べたものですが、2つはとても似た動きをしています。
景気指数を算出するアンケートに答えている企業は、利益が伸びなくなる兆候を目の当たりにしているから「景気が悪い」と回答しているわけで、これらの景気指数が利益成長と関連していても不思議ではありません。
さて、問題は上でも見たように2022年からNY連銀景況指数は悪化傾向にあることです。そして、10月になってもその傾向は改善に向かっているようには見えませんでした。それは企業の利益成長も改善する兆しがまだ見えていないことを意味します。
一方で、昨日の記事でも書きましたが、米国株のアナリストたちは企業利益は2022年7-9月期で既に底を打ち、今後は利益成長(前年比)が加速すると見ています。
アナリスト予想通りなら早ければ10月にも景気指数の上昇が見られるはずなのですが、残念ながらそうはなりませんでした。
今のところ、米国株には楽観が渦巻いているように見えます。
10月に入ってから何日か米国株は大きく上昇する日が見られますが、まだ私はまだハッキリとした株価の底打ちのシグナルをまだ確認できていません。
株高を支えるような「企業利益の好転の兆し」も「長期の実質金利の低下」も見られていないため、しばらく株高が続いても一時的な株高を疑ってこの流れには乗らないつもりです。