さて、経済指標によっては既に今月2月分のデータが発表されてるものがあるので、この記事で確認しておきます。
ここで紹介するのはニューヨーク連銀とフィラデルフィア連銀がそれぞれ発表した製造業の景気指数なのですが、2月はどちらも良いとは言えない数字が並んでいます。
この記事のポイント
- ニューヨーク連銀景況指数は2月は予想を上回ったがマイナス圏で、前月よりも景気が悪化していることを示している。
- また、フィラデルフィア連銀景況指数は予想すら大きく下回るマイナスだった。
- まだアメリカでは利上げを複数回残している。この状況で既にマイナスの景況指数が続くことは、企業にとっても株主にとてもまだ厳しい時期が続くことを意味してる。
2月は景気悪化
まず、さらっと2つの結果を確認しておきます。
ニューヨーク連銀が発表した2月の製造業の景気指数は、予想よりはかなり良かったのですが、それでも前月よりも景気悪化を示すマイナス圏に落ち込んでいます。
- 予想:-18.2
- 結果:-5.8
一方で、フィラデルフィア連銀が発表したは予想よりも大幅に悪い数字がならび、大きなマイナス圏に沈んでいます。
- 予想:-7.3
- 結果:-24.3
予想に対して上振れや下振れなどの違いはあるのですが、2つのデータに共通しているのはどちらも景況指数がマイナスを記録している点です。
どうも2月も製造業の景気は悪そうだと言えます。
製造業の悪化が意味するところ
「そもそも製造業の景気を見てどうするの?」「今はサービス業績の景気や雇用のほうが重要ではないの?」という指摘はもっともです。
しかし、株に投資する上では、製造業の景気はS&P500の企業の一株利益と相関があるという点は見逃せません。
一株利益が下がれば、当然株の魅力は減るわけで、株価も下落圧力を受けます。最近のS&P500は持ちこたえていますが、一株利益は下がっていて徐々に割高へと向かっているので、米国株に対して楽観はできないと思います。
そして、S&P500の企業で一株利益が低下すれば人員削減が進むリスクがあることを考えると、製造業の景気も見ておく必要はありそうです。
企業が置かれている状況は厳しい
最後に、企業が置かれている状況についてまとめておきます。
恐らくなのですが、アメリカの利上げはまだまだ続きそうです。シカゴ連銀が発表している金融環境の引き締め指数(フィナンシャル・コンディション・インデックス:下図)を見ても、昨年10月から緩和的になっているので、インフレを目標の2%に持っていくためには残念ながらさらなる利上げが必要な状況です。
出典:FRED
この記事でみたように既に23年2月現在で企業の景気がマイナスで落ち込んでいる中で、利上げがまだ続くというのは企業にとっても、企業の所有者である株主にとってもまだまだ厳しい時期が続くことを意味しているように見えます。