今週の市場が開く前に、先週出ていた経済指標で少し気になったものを取り上げていきたいと思います。
ここで見ていくのは、ニューヨーク連銀とフィラデルフィア連銀がそれぞれ発表した3月の製造業の景気指数です。
この数字を見ると、3月も製造業の景気は冴えないのだろうと思います。
この記事のポイント
- 既に3月分が発表されたニューヨーク連銀とフィラデルフィア連銀の製造業の景気指数はどちらも予想以上に悪化した。
- 最近の銀行破綻のニュースを受けて銀行は企業への貸出しをこれから減らすと予想される。すると企業の景況感は悪化し、S&P500の一株利益も下がると思われる。
3月も製造業の景気は悪そう
ニューヨーク連銀やフィラデルフィア連銀の製造業の景気指数を見ることには、意味があります。
これら2つは他の多くの経済指標と違って、少しだけ発表が早いのです。多くの経済指標が2月分のデータを発表する段階で、既に3月分が発表されています。
それぞれ結果を確認すると、予想以上に悪いデータになっている事に気が付きます。
ニューヨーク連銀製造業指数
- 予想:マイナス7.5
- 結果:マイナス24.6
まず、ニューヨーク連銀が調査した3月の景気の強さですが、一言で言うとダメでした。
マイナスに触れていると前月よりも景気が悪化していることを示すのですが、前月と比べても予想と比べても大きくマイナスに振れています。
なお、このニューヨーク連銀の調査は3月2日から9日にかけて行われたので、銀行不安はほとんど影響ないはずです。それでも数字が悪かったところに、アメリカ製造業の暗さがあります。
フィラデルフィア連銀景況指数
また、フィラデルフィア連銀が発表した3月の製造業の景気の強さも予想を下回っています。
- 予想:マイナス14.8
- 結果:マイナス23.2
マイナス23.2という数字も、過去には景気後退の中でしか見られなかったような数字です。
こちらの調査は3月6日から13日に実施しているので、銀行破綻のニュースが心理的に影響して結果がいくらか悪くなったかも知れません。
株の買い場はまだ来ていない
製造業の景気が悪かったからと言って、アメリカ全体の景気が悪いわけではありません。
ただ、一般的にアメリカ全体の景気よりも早く製造業の景気が悪化が始まることを考えても、今のアメリカは景気拡大期の終盤なのだろうと思います。
また、企業が感じている景況感が悪いというのは「なんか景気よくないよね」という世間話とは違います。具体的に言えば、企業の利益が伸びていないからこそ、企業は景気が悪いと感じていることが多いです。
その証拠に、ニューヨーク連銀やISM製造業指数はS&P500の一株利益と連動しています。
そして、最近の銀行破綻のニュースを受けて、銀行は企業への貸出しを抑えることから、資金繰りの苦しい企業は増えていくと思われます。
そうなると恐らくこれから製造業の景気は下がり、そしてS&P500の一株利益もまだ下がるのだろうと思います。それは株がまだ買い場に来ていないことを意味します。
先日のブログではFRBが銀行救済を通じて世の中にドルを供給して資産価格が上昇する話をしました。ただ、株については一株利益の見通しが良くないので、今は投資をしなくていい気がします。