昨日の記事(以下リンク)では3月のアメリカ経済は不調だったということを伝えました。
小売売上だけではなく、3月は雇用の鈍化も見られ、企業が感じる景気もかなり弱かったことが経済指標からわかっています。
では、4月はどうでしょうか。既に半分も終わった段階なので、早くも4月のデータも発表され始めましたが、意外にも4月の景気はかなり良さそうです。
この記事のポイント
- ニューヨーク連銀が調査した製造業の景気指数は、予想を大きく上回って景気拡大を示した。
- 景況感の好転は一時的なものかも知れないので楽観するにはまだ早い。利上げが続いている段階で株価も景気も底を打つとは考えにくい。
4月のニューヨーク連銀製造業指数は予想を大きく超えて上昇
ニューヨーク連銀は毎月上旬に製造業に対して景気のアンケートをして、中旬には発表しています。
4月のニューヨーク連銀製造業業指数の発表が昨日あったので、結果を見てみたのですが、かなり良かったです。
- 予想:-18.1
- 結果:10.8
エコノミストの予想は前月よりも景気悪化をしめすマイナス圏だったのですが、結果はプラス10.8と大きく予想を上回っています。
2022年からニューヨーク連銀製造業指数はマイナスが続いて景気悪化を示していたのですが、4月には大きな反動が見られたようです。
また以下のグラフを見ると、新規受注が前月より伸びていたりと状況が改善している様子も見られます。
ということで、アメリカの4月の景気は良いかも知れないという前向きなデータが見られました。
まだ楽観視は早い
今月のニューヨーク連銀製造業指数の大幅なサプライズは正直少し驚きました。
ただ、今回の結果を見て「アメリカの景気はもう大丈夫」とか「底を打ったから株は買いだ」というのはまだ早いと思います。
今回の調査は4月3日から10日かけて行われたのですが、この時期と言えば前月まで混乱していた銀行の問題が一段落した時期です。
企業はアンケートに対して前月(悪かった3月)から良くなったかどうかの回答をしているはずなので、3月の銀行の混乱期に比べたら良くなったと回答している企業もかなりの数いるかも知れません。
また、次の5月には最後の利上げも予定されており、金融引き締めが続いている段階です。
金融引き締めの途中で株価も景気も底を打つようなことは普通はありません。株価や景気は一時的に回復することはあるかも知れませんが、今回の利上げは40年ぶりのハイペースだったのに、この程度の株価下落や景気悪化で済むというのはどうも腑に落ちません。
今回のニューヨーク連銀製造業指数が良かったことで、5月上旬に発表される次のISM製造業指数もかなり良い数字が出てくる可能性はありますが、一時的な好調かも知れないので楽観しすぎないで臨みたいと思います。