ノボ・ノルディスクという企業をご存知でしょうか。
この銘柄を実際に保有している日本人を、私は片手で数えられるほどしか知りません。ただ、私はこの銘柄の将来をかなり信じています。2013年から私はアメリカ株に投資してきましたが、その初年度の年から常に私の1番大きな保有銘柄になっているのが、その信頼の証です。
「そもそもノボ・ノルディスクは何の会社なのか」「ノボ・ノルディスクの何が、そんなに有望なのか」をについて、この記事でお伝えします。
この記事のポイントはこちらです。
- ノボ・ノルディスクは、100年に渡って糖尿病の治療薬を専門にして長年世界をリードしてきた会社
- アメリカの薬価引き下げ、先進的な糖尿病治療薬の台頭、ライバルのイーライリリーにシェアを奪われ、近年は逆風が吹いていた。
- 2019年はイーライリリーを突き放す新薬がアメリカで承認されて、反撃体制が整いつつある。
- 注目の新薬は糖尿病治療(GLP-1受容体作動薬)としては世界初の「飲むタイプ」。患者への負担が少なく、シェア奪還に期待。
- 新薬の販売に向けて準備が進む中の2019年3Q決算では、利益・売上ともに回復傾向が見えてきた。
ノボ・ノルディスクは90年以上続く糖尿病専門の製薬会社
ノボ・ノルディスクは歴史あるデンマークの優良企業です。1920年代に設立された研究所が母体になっている企業で、糖尿病患者のための治療薬をを長年手がけてきた老舗の製薬会社です。
そもそも糖尿病って、どんな病気か簡単におさらいしておきます。肥満や運動不足が原因で血液に流れる糖が過剰になってしまう病気で、神経や目や腎臓などにさまざまな合併症を引き起こす、治らない病気のことです。
世界の糖尿病患者は爆発的に増え続けていて、世界保健機関(WHO)の発表では2017年に4億2,500万人に上る現代病で、これからも増加することが見込まれています。
こういう話をすると糖尿病で苦しんでいる人には大変申し訳無いのですが、「爆発的に世界で患者人口が増えている」、かつ「治らないで薬を使い続ける」の2点が揃うと、この分野で薬が開発できれば「継続的に儲かる」と判断します。
このビジネスの感覚は、株式投資家も同じことを考えてます。以下は、ノボ・ノルディスクの長期の株価のグラフですが、近年は色々あって荒れたものの、ノボ社はずっと糖尿病治療薬の分野で1,2を争うシェアをキープしているので、長期的には右肩上がりです。
少しはノボ社の魅力が伝わりましたでしょうか。ちなみに、あまりにも馴染みがない会社なので、どこの証券会社でも買えるわけでははない点、ご注意下さい。私が知る限り、マネックス証券
と楽天証券くらいでしか、見たことがないレアな銘柄です。
ノボ・ノルディスク近年の低迷
さきほどの近年は色々あって、株価が低迷したと言いましたが、一言で言うと逆風が吹いてました。
- ノボ社の売上の半分を占めるアメリカで、政府のインスリンの価格引き下げ圧力をうけて売上減少。
- 糖尿病の治療薬の進歩が激しく、次々と他社が今までにないタイプの新薬を開発(DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬など)。
- インスリン以外で、ノボが勝負をかける糖尿病治療薬(GLP-1受容体作動薬)の領域で、ライバルのイーライリリーが世界的にシェアを奪ってノボ社を猛追
そんな影響もあって、2016年にはかなりの売上成長の鈍化がみられ、株価も下がっていました。しかし、2019年に入ってから低迷していた売上に復調の兆しが見えきた、というのが近年のノボ社の動きです。
2019年3Qは予想を超える好決算
さて、前置きが長くなりましたが、最新のノボ・ノルディスクの決算が発表されたので、その概要を見ていきたいと思います。結果は予想を上回る好決算でした。
- 一株利益:0.62ドル予想を上回る0.64ドル。
- 収益:45.1億ドル予想を上回る45.3億ドル(+9%)。
地域別にみると、AAMEO(アジア、アフリカ、中東、オセアニア)で16%の売上増加、更には中国で13%の売上増加を見せていて、全体を押し上げています。
次は製品カテゴリですが、アメリカでインスリンの売上が大きく低迷している中、GLP-1の売上が世界中で大きな伸びを見せていることが解ります。
そして売上成長を牽引しているGLP-1の領域で、アメリカでは期待の新薬が2020年に発売されることが発表されました。
期待の新薬、飲むGLP-1は2020年米で発売
ノボ・ノルディスクがインスリンに変わる主力製品として期待をかけているGLP-1受容体作動薬(以下、GLP-1)の分野で、世界で初めての飲むタイプの薬の薬が開発されました。その新薬のその最新情報もいくつか発表になっています。
- アメリカでは2020年に新薬発売。
- ヨーロッパでは2020年第1四半期に当局から販売承認判断が出る予定。
- 日本でも2020年第1四半期に厚生労働省の販売承認判断が下る予定。
新薬の詳細は、ノボ・ノルディスク、期待の新薬「経口セマグルチド」が米で承認で触れていますので、あわせて御覧ください。
注目はなんと言っても、2020年のアメリカでの新薬販売開始です。
新薬発売前から、売上の回復基調を見せて、来年からはいよいよ2-3年低迷し続けたアメリカ市場で期待の飲むGLP-1が発売になります。2020年はノボ・ノルディスクから目が話せません。引き続き、この銘柄にはかなり期待しています。