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ナイキ好決算でも、やはり割高で買えず【20年9-11月決算】

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ナイキの決算は良かったです。売上も一株利益も予想を超える内容でした。

2020年9-11月はヨーロッパで外出禁止の規制がかかった影響で売上が落ち込むかと思われたのですが、アメリカ以上に力強く売上が成長していたのは、かなり意外でした。

近年のナイキはオンライン販売を力強く進めているので、その効果もあったようです。

ナイキはブランド力もあり、オンライン販売を軌道に乗せるまでのスピード感も早く良い企業です。それを評価して今年のナイキはS&P500を大きく上回る結果を残しています。

S&P500を大きく上回る2020年のナイキ株の上昇率

もしも少々問題があるとしたら、ナイキに投資している投資家のほうかもしれません。株価はかなり割高で、簡単に手出しできるレベルにはありません。

最近は本当にどの企業も割高になったなとつくづく感じます。

  • ナイキの決算は良い内容だった。売上も利益も予想を上回る好決算だった。
  • 前々回の決算では売上が前年比マイナス38%、前回はマイナス1%と低迷していたが、今期はプラス9%で平常時に戻った。
  • ナイキは急速にデジタル化が進行していて、今期もオンライン販売が前年比+84%と好調だった。地域別ではヨーロッパと中国の売上が好調だったが、特にヨーロッパは外出禁止の規制がかかる中でも力強い成長率を見せた。
  • ただ、今のナイキ株はかなり割高で取引されていて、なかなか手出しができない。

売上成長率が通常時まで回復


2020年9-11月期のナイキはかなり復調してきたようです。

前々回まで売上が前年比マイナス38%で落ち込んでいたのに、それを感じさせない成績を残しました。

  • 売上:112.4億ドルで、予想を7.3億ドル上回る(前年比+8.8%)
  • 一株利益:0.78ドルで、予想を0.16ドル上回る(前年比+11%)

売上成長率がコロナ前の水準まで回復したことは好材料です。コロナ前は一桁後半の成長を続けていましたが、今期の売上は前年比+約9%と元の水準に戻りました。

ヨーロッパと中国が売上成長を牽引

先程は「売上成長率がコロナ前の水準まで回復した」と書きましたが、地域別に売上を見ると好不調がハッキリと現れているようです。

今期の好調な売上を牽引したのは中国と欧州でした。

ナイキの地域別売上

地域別売上 売上(単位B:10億ドル) 前年比(9-11月)
北米 $4.0B +1%
欧州・中東・アフリカ $3.0B +17%
中国 $2.3B +24%
アジア・ラテンアメリカ $1.5B 0%

2020年9-11月のヨーロッパは各国で新型コロナウイルスで外出禁止令が出ていたはずなのですが、それでも前年比17%と好調だったのは意外でした。

ヨーロッパではナイキ直販のオンライン販売を中心に業績を伸ばした他、ドイツのネット通販Zalando経由での販売を伸ばしたり、イギリスでスポーツのファッションブランドを多く取り揃えるJD Sports経由での売上を伸ばしたりと、コロナで厳しい環境の中でも販売ルートを拡大して売上に繋げられたようです。

中国でもネット販売が盛況になる「独身の日」の流れに上手く乗れたようで、他の地域よりも売上が好調な状態が続いています。

割高なナイキ株


ナイキはとても良い企業だと思うのです。しかし、いざ投資をしようと思うと株価が高くてなかなか手が出ません。

割高度を測る予想PERを見ても、平均の29を大きく超えて、近年になく高い数字が並んでいます。

この背景には、今後ナイキの利益が力強く伸びていくという予想があるからです。

アナリスト予想はナイキの利益が力強く伸びると予想

ナイキ 一株利益 前年比
May, 2019 2.49ドル +113%
May, 2020 1.60ドル -36%
May, 2021 3.03ドル +89%
May, 2022 3.79ドル +25%
May, 2023 4.70ドル +24%

ただし、今後ナイキの利益が大きく成長することを考慮しても、ギリギリいっぱいの価格がついています。

上のグラフで見たようにナイキは過去5年間ほどは(1年後の)予想利益の29倍のついていました。

2022年6月から2023年5月までの予想利益は一株4.7ドルとアナリストは予想していますが、この数字の29倍で計算される2022年6月時点のナイキの予想株価は4.7ドル×29=136ドルで、これは2020年12月時点の株価と一致します。

平たくいうと、2022年6月頃に達成するはずの株価が既についてしまっているほど割高なので、今はナイキ株を購入してもそれほど大きな上昇は見込めなさそうです。

前日アクセンチュアの決算記事でも、「良い企業だけど、今は割高で購入できない」という結論を出しましたが、ナイキもまた同じ問題を抱えているようです。最近は本当に割高な株が増えたと感じています。


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