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急速にデジタル化を進めるナイキ、業績は急回復【20年6-8月期決算】

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少し前のことですが、ナイキの6-8月期決算が割と良かったので取り上げたいと思います。

この決算が印象的だった理由は、新型コロナウイルスの影響を受けて前回の決算では大きく低迷していたナイキが、業績の急回復に成功しているためです。

3-5月期のナイキは収益は新型コロナウイルスの影響を受けて前年比マイナス38%で赤字に転落して、言ってしまえばボロボロでした。

しかし、それからわずか3ヶ月で収益・利益ともに前年の業績とほぼ同じ程度にまで復活しています。

正直、ここまで回復が早いとは思ってもいませんでした。

この予想を上回る業績の回復はナイキ1社だけに言える傾向なのか、それとも他の企業にも言える傾向なのかはまだわかりませんが、ナイキの好調な要因を探ると、急速なオンライン販売の成長が見られるので、これが大きく影響したかなと今のところは考えています。

この記事のポイント

  • ナイキの決算は良い内容だった。好決算を受けて、決算発表後に株価は+13%も上昇した。
  • 前期の決算では収益が前年比マイナス38%に落ち込んだが、ほぼ前年と同じ水準にまで業績を回復させた。
  • 予想以上に調子が良かった要因は、オンライン販売が前年比+82%で伸びたこと。全社売上に占めるオンライン販売の割合は2023年目標だった30%を既に超え、ナイキは急速にデジタル化が進行している。

好決算だったナイキ2020年6-8月決算


今期のナイキの成績は、利益・収益ともにアナリストの予想を上回る良い内容でした。

  • 一株利益:$0.95で、予想を$0.47上回る。
  • 収益:$10.6Bで、予想を$1.45B上回る(前年比-0.6%)。

もともとナイキは何もなければ、大抵の決算でアナリスト予想を上回る安定した企業です。過去数年の決算を見ても、アナリスト予想を下回る悪い決算だったことのほうが珍しいです。

主力地域の北米の売上減少が響いて、収益はマイナス0.6%成長で前年をわずかに下回りましたが、それでも収益・利益ともに予想ほど悪化せず、決算発表後の株価は13%上昇しました。

前期の低迷から業績急回復

冒頭でも言いましが、この決算で印象的なのはコロナからの業績の復活の速さです。

前期の決算では収益が大きく低迷して予想外の赤字に転落し、私も「新型コロナの再流行があれば、ナイキの復活は厳しいかも知れない」と書きました。

実際、6-7月にかけてアメリカでは新型コロナウイルスの感染拡大が見られたのですが、3-4月に見られた都市封鎖は行われなかったこともあり、ナイキの業績は4月を底に回復を続けたようです。

以下がナイキの収益の推移ですが、前期からまさにV字回復を遂げています。

前期は赤字に沈んでいたナイキですが、わずか1四半期で一株利益もプラスに復活しています。

好調の要因はオンライン販売の成長


ナイキの好調の要因ですが、おそらくオンライン販売(Digital Sales)の好調が一番インパクトがある効果だと思います。

ナイキのオンライン販売は6-8月期で既に売上の30%を超えたようなのですが、前年成長率は+82%で伸びていると言います。コロナの影響で店舗での売上はもちろん減少していますが、オンラインの成長がかなり順調で、この企業は急速にデジタル化を進めているように見えます。

地域別に見てみると、欧州や中国で業績が大きく改善していますが、どちらの地域もオンライン販売が好調でした。特に、欧州・中東・アフリカではオンライン販売は前年比で3桁成長を遂げているようです。

地域別売上 売上(10億ドル) 前年比(6-8月) 前年比(3-5月)
北米 $4.2B -2% -46%
欧州・中東・アフリカ $2.9B +5% -46%
中国 $1.8B +6% -3%
アジア・ラテンアメリカ $1.1B -18% -42%

その他、決算発表で公表されたナイキの状況を以下にまとめておきます。

決算で発表があったナイキの状況

  • 北米、欧州・中東・アフリカ、中国での直営店はほぼ全ての店舗で開店できた。アジアの店舗の開店率は90%だった。
  • コロナの影響を受けて店舗への来客数は前年比で減少したが、購入につながる顧客の割合は上昇した。
  • オンライン販売は前年比82%で上昇して、ナイキの四半期売上の30%を超えた。オンライン販売比率30%は、2023年の目標だったが既に達成した。
  • 欧州・中東・アフリカでは、特にオンライン売上が好調で3桁成長を遂げている。
  • 中国では前年比+6%でプラス成長に転じた。オンライン販売と、ナイキ直営のアウトレット店舗での売上好調の要因だった。

この記事では、新型コロナウイルスから急速に業績を回復させたナイキの決算を見ていきました。好調の要因を探ってみると、オンライン販売を急速に進めて、実店舗に依存しない商売に切り替えているナイキの姿が見えてきました。

製造・小売の企業でナイキほど一気にオンライン販売を進めた企業が他にいるのかは、10月後半から本格化する決算発表を待たないとわかりませんが、ITをどう駆使するかが業績に直結する良い例となるようなナイキの決算でした。


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