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利上げが近づく内容だった12月の米雇用統計

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12月の雇用統計が発表されました。

今回の結果は、アメリカの政策金利の引き上げ(利上げ)は近いなと感じる内容でした。

利上げが起こってもすぐには米国株に影響はないはずですが、ジワジワと悪影響がでるので、利上げペースが上がることは少し警戒しています。

この記事のポイント

  • 12月のアメリカは失業率がかなり低く、賃金上昇も大きかった。このどちらも利上げが近いことを意味している。
  • 2022年に年4回利上げすると予想する市場の投資家の割合が増えている。
  • 前回の2018年までの利上げでは9回の利上げを実施した後に株価が大きく下落したが、今の米国株は割高なので9回よりも少ない回数で株価は崩れると思われる。

利上げが近づく内容だった12月の米雇用統計


12月の雇用統計が発表されましたので、まず数字を確認していきます。

  • 非農業雇用者数:+19万人(予想:+40万人)
  • 失業率:3.9%(予想:4.1%)
  • 平均賃金:前月比+0.6%(予想:前月比+0.4%)

これらの数字に対する私の雑感は次のような感じです。

  • 非農業雇用者数:良くないけれど、既に失業率は低いから雇用増加が少なくてもそれほど問題ない。
  • 失業率:利上げが始まっていないのが不思議なくらいに低い。
  • 平均賃金:かなり高い。賃金の上昇がインフレにつながりかねない。

一言でまとめるなら、12月の雇用統計の数字はFRBが金融緩和の縮小をペースアップしてもおかしくない内容だったと思います。

過去に利上げをした時の失業率を見比べてみると、失業率は現時点の3.9%よりもずっと高い時期から既に利上げが始まっていました。

利上げ開始時期 米失業率
2015年12月 5.0%
2004年6月 5.6%
1994年2月 6.6%
1987年1月 6.6%

これを見る限り、いつ利上げが始まってもおかしくないほどアメリカの景気は回復しているようです。

また、平均賃金がかなり高いのも気になっています。

先日のISMの発表を見ていると12月はアメリカに高い物価上昇を引き起こした物流や供給の問題は解消されつつあるように見えますが、それでも賃金が前月比0.5%(年率7.6%ペース)で上昇しているなら、今後は賃金の上昇がアメリカのインフレを押し上げることになりそうです。

振り返ると、1970年代のアメリカの高いインフレ率は賃金が背景にあったので、その時とかなり様子が似てきたと感じます。

この1970年代の教訓からFRBは賃金が高い状態をほうっておくことはないはずなので、アメリカは利上げはまもなく始まるだけでなく、途中でそのペースが加速する場合もあるのだろうと思います。

市場の反応

今回の雇用統計では失業率や賃金上昇が予想以上に良かったので、景気が強い場面では売られる長期国債が売られました(長期金利は上昇)。

長期金利が上昇すると割高なハイテク銘柄が多いナスダック総合指数が売られるという、最近よく見られる展開がこの日も見られました。

また、投資家の中で2022年に4回(1.0%分)利上げするという予想が広がっているのが気になります。

利上げは時間をかけて景気を冷やすので、2022年に4回の利上げをして米国株が大きな下落せずに耐えられるのか少し不安になります。

前回2018年まで続いた利上げの時期では9回まで利上げができているので、たった4回ならまだなんとなく耐えられる気はします。

ただ、2022年現在は当時よりも米国株が割高なので、9回よりもずっと少ない利上げで株価が崩れるだろうとも思っています。

2022年後半から米国株は際どい時期になってきそうです。


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