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雇用の弱まりを感じる2月のアメリカ雇用統計

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投資家が注目していた2月のアメリカ雇用統計が発表されました。

失業率が悪化していたり、賃金の伸びが小さかったり、雇用のデータは弱いものが目立ちました。

それでもすぐに景気後退を心配するような内容ではなかったと思っています。

この記事のポイント

  • アメリカ2月の雇用統計は予想よりも弱い数字が目立った。失業率が0.2%悪化し、平均時給の伸びもわずかに0.1%にとどまった。
  • 雇用者の伸びは予想よりも伸びていたが、フルタイム労働者は3ヶ月連続で減少している。
  • ただし、景気後退突入の基準(サームルール)を調べると、まだ景気後退は差し迫ってはいないこともわかる。

全体的に弱かった2月の雇用統計

2月のアメリカ雇用統計は全体的に弱かったと言えます。失業率は0.2%悪化、平均時給はわずか0.1%の上昇でした。

  • 非農業部門雇用者数:27.5万人(予想20.0万人)
  • 失業率:3.9%(予想3.7%)
  • 平均時給:0.1%(予想0.3%)

非農業部門雇用者数は予想以上に増えていますが、最近のこの数字は毎月のように下方修正しているので、あまり当てになりません。

案の定、今月も過去2ヶ月分のデータが下方修正されています。

また、雇用者数の伸びの内訳を見てみるとパートタイムの労働者が増えているだけで、フルタイムの従業員が減っていることからも、雇用はそれほど強くないと言えます。

景気後退はまだ差し迫ってはいない

ここまで見てきたように、2月の雇用統計は思っていたより強くありませんでした。

しかし、それでも景気後退の突入までにはまだ距離がありそうです。

景気後退の突入基準としてサームルールというものがありますが、その基準もまだ満たしていません。

サーム・ルールによる景気後退期の判定

  • 過去3ヶ月間の失業率の平均値が、過去12ヶ月間の失業率の最低値よりも0.5%上昇していたら、景気後退期と判断する。

今月失業率が悪化したので、アメリカが景気後退にどの程度近づいたかを確認してみましょう。

3.9%にまで失業率が上がったというのは、2月単月で見れば景気後退に近づいている印象があります。

しかし、サームルールでは3ヶ月平均が上昇しないといけないので、失業率の高い水準が続かないと景気後退とは判定されません。

加えて、3ヶ月の平均失業率が超えるべき「過去12ヶ月間の失業率の最低値+0.5%」は2024年4月に3.9%から4.0%へと上昇します。

これから数ヶ月で景気後退入りするためには4%以上の失業率を継続する必要がありますが、それは少し可能性が低い急な話だと思います。

2024年後半や年末にはサームルールを満たしているかもしれませんが、今すぐに景気後退は差し迫ってはいないと考えます。

さいごに

2月の雇用統計は弱かったですが、それでもまだ景気後退まではいくらか時間があるという認識で良さそうです。

また、サームルールで景気後退に突入してもすぐにコロナショックのようなものが起こるわけではありません。2007年12月のアメリカ景気後退の突入時は「浅い景気後退」と言われつつ、株価は緩い下降線を描いて9ヶ月後にリーマンショックがありました。

2024年のどこかでサームルールではアメリカは景気後退に突入したというタイミングが来るかもしれませんが、今回も「浅い景気後退だ」と言われて、刺激の少ない投資の日々は続く気がします。

その景気後退突入のタイミングまででも、あと数ヶ月から半年くらいは時間があるだろうというのは今の段階です。

そんな中で小さな朗報は、平均時給の伸びが抑えられてインフレ圧力が弱まったことで、6月の利下げに向けて少し前進したように見えます。

今回の雇用統計を受けても、投資のスタンスはそれほど変わりません。米国株は割高かつ景気拡大期終盤で要警戒、米国債はチャンスを伺う時期、ビットコインは4年に1度の半減期を前にして上昇機運が高まっている時期だと思います。


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