ネットフリックスの2021年7-9月期決算の発表があったので、この記事で振り返っていきます。
業績はそれほど悪くなかったと思います。
決算発表後に1%ほど売られてしまったところを見ると、市場の投資家の期待はもっと大きかったのかも知れませんが、売上も一株利益もアナリストの予想を下回ったわけではありませんでした。
ただ、北米の会員数は7万人しか増加しなかったことを見ると、「すでに北米では成長の機会は大きくない」と思われたのかも知れません。
この記事のポイント
- 2021年7-9月期の売上は予想通りの業績、一株利益は予想を上回った。
- 有料会員数の伸びも上回ったが、ヒット作品に恵まれたにも関わらず会員数の増加は以前に比べてそれほど多くなかった。
- 近年の売上の成長率は下がっているが、利益はまだ伸びる予定。成長株投資家にはあまり好まれなくなっているが、まだこの銘柄が伸びる余地はある。
私は今はこの銘柄を買いませんが*、動画配信サービスの分野で長期的に有望な銘柄だと思って注目しています。
(*ネットフリックスに限らず、今は長期目的で米国株の追加投資を控えている理由は、こちらの記事で書いたとおりです。)
良い銘柄であることには違いないので、いざ買うタイミングが来た場合には直ぐに動けるように引き続きウォッチしていく予定です。
予想は上回った7-9月期の業績
今期のネットフリックスの業績は売上は予想通りでしたが、一株利益や有料会員の純増数が予想を上回るなど良い内容だったと思います。
- 売上:$7.48B(前年比+16%、予想$7.48B)
- 一株利益:$3.19(前年比+83%、予想$2.56)
- 有料会員の純増数:440万人(前年比+9%、予想384万人)
「アナリストの予想は超えた」という意味では良い決算だったと思いますが、「投資家の期待に応えているか」という点では少し寂しさが残るかも知れません。
下の図はネットフリックスの売上の推移をグラフにしたものですが、数年前の急成長の時代を知っていると前年比+16%の成長は物足りなく見えるはずです。
それでもまだ営業利益は高い伸びを見せているので、まだ投資の旨味はあると言えそうです。
会員の純増数について
「投資家の期待に応えているか」という点では、会員の純増加数も一部の投資家には物足りなく見えたかも知れません。
今期は「イカゲーム」という作品が世界で1億4200万人に視聴されるなどヒット作に恵まれたおかげで、世界中のネットフリックス会員数の伸びがアナリスト予想を上回ったのですが、それでも過去数年に比べると会員数の伸びの鈍化傾向が見られます。
特に会員数が多くて単価も高いアメリカ・カナダの加入者が7万人しか増えなかったことで、北米の成長には限界があることが意識されました。
そもそも、2021年の会員数の伸びの鈍化の背景には、2020年の新型コロナ流行初期に世界でネットフリックスの会員が急に増えた反動(需要の先取り)もあるので、今の時期はやや厳しいのかも知れません。
今後のネットフリックスについて
ここまで、2021年7-9月のネットフリックスの決算を見ていきました。
一株利益や会員数の純増加数がアナリスト予想を超えるなど、まずまず悪くない決算だったと思います。
しかし、今期のネットフリックスはヒット作に恵まれながらも主要な北米市場で大きな会員数増加にはつながらず、成長率鈍化の傾向が続いている点は一部の投資家に期待にそわない内容になっていたかも知れません。
ただ、私は長期的にはあまりこの企業の将来を心配していません。理由は次の2つです。
- 定額制の動画配信サービス業界で、高いシェアを誇っているから。
- 売上成長は鈍化しても、一株利益の高い成長はまだ続くから。
ディズニープラスのサービス提供開始などで盛り上がった2019年に比べると、動画サービスの競争もいくらか落ち着いた印象があります。
そんな中でネットフリックスがかなり高いシェアを持って、有利な立場にいるように見えます。
また、売上成長率は落ち着いていますが、今後の数年間の一株利益は高い成長率が続くようなので、まだ株価が上昇する見込みもあると思います。