ネットフリックスの決算は、悪くなかったもののややスッキリとしない結果になりました。
収益・利益は良かったので木の幹になる部分は問題ないのですが、枝葉で気になる部分があります。
北米でネットフリックスのような動画配信サービスのライバルが乱立していて競争が激化しているため、北米の加入者数の伸びは予想を下回っています。
この記事のポイント
- ネットフリックスの2019年はアナリスト予想を超える収益を出した。
- 収益は前年の30%増加、利益は330%増加で高成長を維持しながらも利益も伸ばしつつあるのは好印象。
- ただし、北米の加入者数がアナリスト予想に届かなかった。北米を中心にネットフリックスのような動画配信サービスが乱立していることで、加入者数の鈍化している可能性がある。
ただ、私はこの企業はあまり心配していません。
結局のところ、ネットフリックスはやっぱり強い気がします。業界の競争は激化していますが、ネットフリックスの膨大なコンテンツ製作能力の前には、他の企業も尻込みをしてしまうからです。
ユーザはたくさんのコンテンツを提供するネットフリックスやアマゾンのサービスを契約しつつ、好みにあわせてDisney+などの低価格なサービスも併用する形に落ち着くと予想しています。
ネットフリックス株は2018年に最高値をつけてから、しばらく低迷していますが、私は密かに買い時を狙っています。
前年から収益・利益が大きく伸びたネットフリックス
ネットフリックスの2019年10-12月期の決算は、収益・利益ともに順調に伸びました。
- 一株利益:1.30ドル(アナリストの予想とは比較できず)
- 収益:$5.45B予想を上回る$5.47B(前年比30%増加)
以下、前年同期との比較ですが、収益は31%増、利益は338%増加で大きく伸びています。
売上(100万) | Q4 19 | Q4 18 | 前年比 |
---|---|---|---|
収益 | 5,467 | 4,187 | 31% |
純利益 | 587 | 134 | 338% |
加入者数 | 167.09 | 139.26 | 20% |
悪くないですね。加入者数が20%の伸びなのに収益がそれ以上に伸びているのは、月額料金を値上げしているからでしょう。
収益増加の要因は値上げ
通常、こうしたアプリやwebサービスは「低価格でユーザを増やす段階」から「値上げをして収穫をはじめる段階」に移るものですが、ネットフリックスは自分たちの企業のことを収穫期に入ったと理解しているようです。
近年は加入者数の伸びが鈍化し始めたことで、ネットフリックスは頻繁に値上げをして収益を伸ばす方向に動いています。
次の表をみると、世界中のネットフリックス加入者数は増えてはいるものの勢いがなくなってきていることがわかります。
単位:100万人 | 会員数 | 前年比 |
---|---|---|
3Q18 | 130.42 | 25% |
4Q18 | 139.26 | 26% |
1Q19 | 148.86 | 25% |
2Q19 | 151.56 | 22% |
3Q19 | 158.33 | 21% |
4Q19 | 167.09 | 20% |
しかし、度重なる値上げの効果もあって、売上は加入者の伸び以上に増加しています。
単位:100万ドル | 売上 | 前年比 |
---|---|---|
3Q18 | 3,999 | 34% |
4Q18 | 4,187 | 27% |
1Q19 | 4,521 | 22% |
2Q19 | 4,923 | 26% |
3Q19 | 5,245 | 31% |
4Q19 | 5,467 | 31% |
加入者増は北米で予想を下回る
さて、ネットフリックス地域別にみると気になる傾向が見えてきます。北米での加入者数の増加が鈍化していることです。
2019年3Qに続き、連続して北米での加入者数の伸びがアナリスト予想に届かなくなっています。
- 北米加入者数:予想61.1万人増を下回る55万人増
- 海外加入者数:700万人増を上回る833万人増
世界の中で北米で当てはまる事情として、真っ先に思い浮かぶのは動画配信サービスの激化です。
アップルのApple TV+や、日本ではまだ始まっていないウォルト・ディズニーの動画配信サービスのDisney+など、北米ではライバルたちが次々とこの業界に参入しています。
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ネットフリックスも、最近の加入者の伸びの鈍化は価格改定とライバルの出現にあると言います。
ネットフリックスには強気
ただし、私は基本的にはネットフリックスにずっと強気です。
2019年に株価が低迷したときにも理由を書きましたが、ネットフリックスが毎年作成している動画コンテンツの量は膨大で、他社がかなわないレベルだからです。
ネットフリックス、2019年株価上昇分が全て消滅もまだ強気な理由。
ネットフリックスは2019年に30%以上あった年初来リターンを全て失いました。ライバルの参入によって動画ストリーミングサービスが苦境に経っているようにも見えますが、数年以内にネットフリックスが再評価されるチャンスもあると思っています。
業界の競争は激化していますが、新規参入したディズニーのボブ・アイガーCEOもコンテンツの量ではかなわないと認めています。
だからこそ、新規参入したDisney+などの動画配信サービスは、ネットフリックスを契約しているユーザにも契約してもらえるように、低価格でサービスを展開しています。
結局、ユーザは大規模なコンテンツを保有するネットフリックスやアマゾンの動画配信サービスを契約しつつ、好みにあわせてDisney+などの比較的低価格なサービスも契約する形に落ち着くと予想しています。