2024年の最初の記事で、2024年こそアメリカは景気後退に向かっていくという話をしました。
しかし、今のところアメリカの景気も消費もしっかりと好調をキープしているように見えます。
ここでは、アメリカの商務省経済分析局が出しているクレジットカードの使用状況をもとに算出した毎週の消費推計データを見ていきますが、1月も2月も消費は好調のようです。
この記事のポイント
- アメリカ商務省経済分析局のリアルタイム支出推定値では、1月も2月もアメリカは堅調な消費の伸びが続いている。
- 現時点ではアメリカは雇用も消費も悪くなく、株高も続いて順調に見える。
- リスク要因はやはり5月以降に予想される「リバースレポ」と「コロナ流行時の超過貯蓄」の2つの枯渇か。
堅調に見える1月の消費
この記事を書いている2月15日は1月のアメリカ小売売上高が発表が予定されています。
この結果を受けて、アメリカの1月の消費が強かったかどうかを見ることになるのですが、1月も(そしておそらく2月も)アメリカの消費は順調なのだろうと思います。
アメリカ商務省経済分析局は2月13日までのクレジットカードの利用状況から、消費の推計値を算出して発表していますが、このデータではアメリカの消費が変わらずに良いことを表しているからです。
上図では少しわかりにくいので、2023年以降のデータだけをグラフにすると次のようになります。
毎週のバラツキが大きいので4週間平均(グラフの濃い赤線)の動きを見てみると、2024年になってからのほうが2023年後半よりも調子が上向いていることが分かります。
堅調な消費と株価はいつまで続くか
ここまで見てきたように、経済分析局のデータを見てみると2024年1月も2月もアメリカの消費は悪くないようです。
もちろん、今晩発表の1月の小売売上高がこの通りの結果になるとは限りませんが、もともとのエコノミストの予想はそれほど高くないので予想を超えてくることもあると思います。
- 前月比:予想0.1%(前回0.6%)
- コア前月比:予想0.3%(前回0.4%)
こうなると冒頭で話をした2024年のアメリカの景気後退の予想が少しずつ怪しくなってきます。でも、まだ予想を撤回するには早いだろうとも思っています。
今のアメリカの消費は余裕のある世帯による消費や株高による資産効果(株高で消費が増える現象)に支えられているはずですが、株については年後半も上昇が続くかは不透明だと思っているからです。
下の記事で書いたようにように金融引き締めでも2023年が株高になった背景にはリバースレポという存在があり、この効果は2024年5月頃まで続くと見られています。
しかし、リバースレポの下支えがなくなっても株高を維持できるのかは、現時点でまだわかりません。
次なる株価の下支えはFRBの政策金利の引き下げとなりそうですが、インフレ率の推移によっては利下げ開始は後ろにずれ込む可能性もあります。
また、家計の消費余力についても、コロナ流行初期に蓄えた分はそろそろ枯渇するので、2024年後半に消費が勢いをなくす展開はまだ十分に考えられます。
現時点では好調なアメリカ経済と株価ですが、景気サイクルは終盤に来ているはずなので楽観はしないで臨みたいと思っています。