昨日 景気に敏感なフェデックスの決算が悪かった話をしました。
フェデックスの業績とアメリカ経済は似たような動きをすることが知られているので、丸1年以上低迷が続くフェデックスの業績を見ているとアメリカ経済はどこかで悪くなるのではという考えが浮かびます。
しかし、最近発表されている経済指標はいずれもまだアメリカの景気の強さを示すものが多いです。先行きは暗そうだが、まだ経済は堅調とでも言いたそうな感じです。
10月末から陰ったように見えた消費もなんだかんだで、持ち直している印象もあります。ここでは、数日前に発表された1週間の消費データを確認していきます。
この記事のポイント
- 10月から11月にかけてアメリカの消費は落ち込んだかに見えていたが、その心配はいらない模様。
- BEAがクレジットカードの支出をもとに毎週発表しているアメリカの消費データは数週間分が上方修正された。
- アメリカ経済の先行きに不安を感じるようなデータも多いが、消費も雇用もまだ堅調というのが現時点の状況。
10月から11月の消費の低迷はなかったことに
アメリカの経済分析局(BEA)はクレジットカードの使用データから消費の推計値をリアルタイム支出(Near Real-Time Spending)という名前で毎週公表しています。
まず最初に見てもらいたいのが先週時点のリアルタイム支出のグラフです。10月から11月にかけて一時的にマイナス成長に沈んでいる期間がみられ、アメリカの消費がついに悪化し始めたかと思われました。
しかし、数日前に発表された最新データは過去の数週間のデータが上方修正されて、注目していた消費の低迷はなかったことになりました。
(※もともとリアルタイム支出データはバラツキが大きく、修正も多いデータなので仕方ありませんが)
10月末頃からアメリカの消費は落ちているのではないかという話を、かれこれ1ヶ月ほどしてきましたが、どうもいらない心配だったようです。
アメリカの消費はまだ弱ってはいないようです。
GDP Nowの改善
最近では他のデータでもアメリカの消費が弱っていない受け取れるものが複数発表されており、アトランタ連銀が公開しているGDP予想(GDP Now)の数値も改善されています。
一時期は10-12月期のアメリカの実質GDP成長率予想が+1.2%まで落ち込んでたのに、今では+2.7%まで改善しています。
+2.7%も経済が成長するなら好調そのものです。
まだ弱っていないアメリカの消費
今のアメリカは景気が悪化するような予兆を感じるデータはいくつもあげられます。
昨日のフェデックスの業績だけでなく、このブログで1年以上も見てきたアメリカ景気先行指数も、ISM製造業指数もアメリカ経済の先行きが暗いことを示しています。
だた、それに反して雇用や消費などの足元のデータは2023年は一貫して強いままでした。
上で見てきたように消費が一時的に弱まったかと思いきやあとで後のデータで修正されることも珍しくなく、9月末には数十年分のアメリカの貯蓄データの上方修正があって、まもなく尽きると思われていたアメリカ消費者の余剰貯蓄がまだ半年以上残っているとわかったこともありました。
>>アメリカがパンデミック時に蓄えた貯蓄は実はまだ底をついていない模様
この1年は何だかデータの修正に振り回されっぱなしでしたが、とにかく最新のデータを信じるならまだアメリカの景気は弱っていないと言えそうです。