ちょうど一週間前に、ホリデーシーズンでアメリカの消費は少し盛り返したという話をしました。
>>米消費は感謝祭の週で復調。消費とインフレの鈍化はまだ先か。
たった1週間で前言撤回して申し訳ないのですが、アメリカの消費はやっぱり調子が上がっていないようです。
先週好調だったデータは下方修正されて、11月は引き続き消費が低迷していたということが明らかになりました。
この記事のポイント
- アメリカ経済分析局の発表では11月にアメリカの消費が低迷したことを示している。
- 投資家は利下げ期待を強めているが、背景にあるのはインフレ抑制だけでなく景気低迷もありそう。
- 米国株にとって利下げ期待はプラス材料だが、消費低迷は株価にはマイナス。その点、利上げ期待のプラス材料を純粋に受けられる米国債のほうが有利かもしれない。
アメリカの個人消費11月に低迷
11月の個人消費の発表はまだまだ月末まで待たないといけないですが、前月よりも低迷していると思われます。
アメリカ経済分析局(BEA)は毎週クレジットカードの使用状況から、毎週の個人消費の強さを推計して発表しています。
昨日12月6日には、11月29日(水)から12月5日(火)までのデータが公開されたので、早速見ていきます。
上のグラフは薄い赤線は毎週のアメリカの消費推計、濃い赤線は4週間の平均を示しています。
このデータは毎週のバラツキが大きいので4週平均で見るとちょうどいいと思うのですが、冒頭にも書いたように先週の感謝祭の週のデータは大幅に下方修正された結果、11月はアメリカの消費が低迷した月となりました。
利下げ期待の背景
最近、投資家は2024年3月の利下げ期待を強めているのですが、これで背景がわかってきたように見えます。
一つは「インフレ鈍化」、もう一つは「消費低迷」です。
アメリカでインフレの鈍化が進んでいることは、先日も書いたとおりです。そして、インフレが落ち着いて来ているなら、そろそろインフレ対策の金融引き締めを緩めてもいいのではないかと投資家は考えて、利下げ期待を強めています。
>>FRBの予想を上回るペースでアメリカのインフレは鈍化している。
もう一つは、今まで強かったアメリカの個人消費が低迷し始めたことです。
消費の低迷の兆候はBEAの個人消費推計だけでなく、原油価格を見てもわかります。
9月末から原油先物価格が下落しているのですが、投資家が需要の低下(景気の鈍化)を敏感に感じ取っているようにも見えます。
株価について
最近では利下げ期待が強まって11月は米国株も米国債も大きく上昇しましたが、12月に入ってから米国株と米国債に違いが生まれ始めたように見えます。
この違いは、「景気の悪化へ反応の違い」にあると思います。
企業の利益が下がれば株が下がるので、景気が悪化すると投資家が思うなら株価も下がります。一方で、米国債には企業の利益も景気の悪化も関係ないので、純粋に利下げ期待を受けて価格が上昇しています。
これからもクレジットカードのデータを使った毎週のアメリカの個人消費推計を見ていくつもりですが、このデータが浮上しないと米国株はなかなか上昇しにくいかもしれません。