昨日はアメリカの個人消費に関連する2つのデータが公開されました。
1つは10月の小売売上、もう1つは11月8日までの毎週の週別の個人消費データです。
10月の小売売上については前から言っていたように、ほぼ横ばいで問題はありませんでした。一方で、問題なのは11月に入ってからの消費です。
まだこれから修正されるかもしれませんが、11月にアメリカの消費が失速している兆候が見られます。
この記事のポイント
- 10月の小売売上は事前のエコノミスト予想ほど悪くなかった。
- しかし、クレジットカードのデータから推定される週別の消費を見てみると、11月から消費がマイナス成長に転じていることがわかった。
- 11月の消費データはこれから上方修正される可能性はまだ十分にあるが、11月から消費が失速をはじめた恐れが出てきた。
予想ほど悪くなかった10月
まず、悪くなかった10月の小売売上のデータを見てきます。
- 予想:マイナス0.4%
- 結果:マイナス0.1%
(前月が好調だったことも影響しているのか)エコノミストの予想では前月からマイナス0.4%とやや悲観的な数字が予想されていたのですが、フタを開けてみれば思っていたより悪くない結果となりました。
前月比マイナス0.1%で、小売売上はほとんど横ばいだった模様です。
先日、以下の記事で「アメリカの10月の個人消費な前月と同じくらいになるのではないか」という趣旨のことを書きましたが、その通りの結果になりました。
11月の消費失速の兆候
10月の小売売上は問題ないのですが、新たな問題が見つかりそうなのは11月の消費についてです。
アメリカ政府(BEA)は、毎週のクレジットカードの支出から個人消費の伸びを見積もってNear Real-time Spending(ほぼリアルタイムな支出)として発表しているのですが、昨晩発表された最新データで11月に大きな消費の低迷が見られます(下図)。
このデータはクレジットカードの利用状況から推定した支出の見積もり(Estimate)なので、毎月発表される個人消費の経済指標に比べると正確性にかけます。
また、翌週以降に大きく修正される可能性が高いので、まだ本格的にアメリカの景気悪化を心配する必要はないかもしれません。
ただ、最近は失業率がジワジワと上昇していて、今まで強かった個人消費までほころびが見え始めるとなると、投資家としては2024年の景気を懸念する声を上げてもおかしくありません。
この1ヶ月市場の政策金利予想はジワジワと2024年の利下げを織り込み始めていますが、最近の消費の弱まりに反応にしているのかもしれません。
前からこのブログで書いているように、ようやく2023年も終わりが見えてきて、いよいよ2022年から引き上げてきた政策金利が消費に悪影響を与え始めた恐れがあります。
この消費の悪化が一時的なものなのかどうかをしばらく毎週確認しようと思います。