昨日の記事で、景気後退になっても消費はまだしばらく続くと書きました。
そうなるといつから消費が鈍化するのかを確認したいと思うのが投資家です。
しかし、アメリカ政府の個人消費のデータは翌月末と少し発表が遅いので、どうにか早く動向を知ることができないかという悩みが生じます。
調べてみると、少し使えそうなデータがありそうです。
この記事のポイント
- BEAが毎週発表しているリアルタイム支出のデータで、個人消費のおおまかな傾向を掴むことができる。
- 最近の傾向を見ると、個人消費は8月中旬以降に伸びが低下している。8月中旬の成長鈍化後は、現時点も変わらない伸びを遂げている。
リアルタイム支出データ
アメリカ合衆国商務省経済分析局(BEA)のサイトを見ていたのですが、次のようなページを見つけました。
Near Real-Time Spending(ほぼリアルタイムの支出)とはなかなか良い名前です。
調べてみるまで知らなかったのですが、どうも2020年のコロナで経済に大きな変化があってからリアルタイムで支出動向を確認したいという声にあわせて毎週発表されるようになったデータのようです。
(お恥ずかしながら、今まで存在を知りませんでした)
実際にデータをダウンロードして見てみたのですが、どうもリアルタイム支出は毎週のデータのばらつきが大きいので、4週平均のデータで傾向を掴むくらいがちょうど良さそうです。
この4週平均のデータなら、毎月月末に発表される個人消費(名目、前年比)のデータの動きと大まかに連動しているようにも見えます。
誤差は小さくないように見えるのですが、消費の伸びが強まったか弱まったかの傾向を掴む分には問題なく使えそうなデータです。
最近のリアルタイム支出について
さて、リアルタイム支出のデータでも個人消費の傾向が掴めそうなことを確認したところで、最近の傾向を見てみたいと思います。
さて、上図にも書きましたが、最近の消費の傾向として気づくのは次の点です。
- アメリカの第2四半期の景気は強かったが8月後半から成長の鈍化が見られる。
- 月末は10月の個人消費が発表されるが、前月と同じような伸びになりそう。(前月データが下方修正される可能性はある)
リアルタイム支出の伸びは8月中旬に下がって、そこから成長率は横ばいの状態が続いているようです。
最近は失業率がじわりと上がっているといっても、消費はそこまで影響を受けていないことがわかります。恐らくこれは、コロナ流行時に貯めた貯蓄が残っている余裕のある消費者層がまだ消費を続けているためでしょう。
そして、10月に学生ローンの返済始まれば消費が10月から消費が鈍化するかとも思われたのですが、リアルタイム支出ではそのような消費の鈍化は見られませんでした。
たしか、学生ローンの返済は滞ってもすぐには信用情報が傷つかないという話だったので、お金がない人は無理に学生ローンを返済しないで消費を続けた可能性があります。
とにかく、10月は前月と変わらない伸びを続けていそうです。
このブログでは、BEAから公開されているリアルタイム支出データの見方について書いていきました。毎週データが公開されているので、消費の動向をいち早く掴みたい場合には使えそうです。
今後もときどきこのデータを見ていきたいと思います。