半導体企業のエヌビディアは、2023年度第2四半期(5-7月期)の決算の速報値を発表しました。
株価が急落したことが示す通り、この結果は誰が見ても悪かったです。
この記事のポイント
- エヌビディアは決8月24日の決算発表を待たずに、不振に終わった5-7月期の業績を暫定値として発表した。
- 売上の$6.7Bは、見通し$8.1Bを大きく下回る成績だった。
- 不振の主な原因は、景気の影響を受けたゲーム部門の売上不振。この不振は8-10月期も続くとエヌビディアは見ている。
見通しを大きく下回ったエヌビディア
エヌビディアは8月8日に5-7月期の業績の暫定値を発表しました。
暫定値を発表しなくても、8月24日に予定されている決算発表で結果を伝えればいいのですが、今回は先に発表したほうが良いと考えるほど結果が悪かったのでしょう。
暫定値を確認してみましたが、前回の5月に発表していた業績見通しを大きく下回る内容になっています。
わかりやすい数字だけ確認しても、今回の5-7月期のエヌビディアが苦戦している様子が見られます。
業績見通し | 発表された業績(暫定値) | |
---|---|---|
売上 | $8.1B | $6.7B |
粗利益 | 67.1% | 46.1% |
今回の業績悪化は主にゲーム部門の業績不振が原因のように見えます。
エヌビディアはゲーム部門とデータセンター向け半導体の売上からなりますが、ゲーム部門は前年比-33%とかなり悲惨な状態でした。
収益 | 構成比 | 前年比 | |
---|---|---|---|
ゲーム部門 | $2.04B | 30% | -33% |
データセンター | $3.81B | 57% | +61% |
その他 | $0.85B | 13% | -7% |
合計 | $6.70B | 100% | +3% |
データセンター向け半導体も大きな売上減速
ゲーム部門が不振だったと言いましたが、データセンター向け半導体も決して良いとは言えない状態でした。
データセンター向け半導体の売上は前年比+61%で伸びていますが、今期はほとんど売上が伸びていません。
以下のグラフで前期比(今回であれば2-4月期からの成長率)で成長率を確認すると、ゲーム部門だけではなくデータセンター向けの売上もわずか前期比+2%しか伸びていないことになります。
まとめ
この記事では、8月24日の決算発表を待たずにいち早く業績不振を伝えたエヌビディアについて見ていきました。
主要部門の一つであるゲーム部門の不振があったと見られています。また、データセンター向けの半導体の売上成長率も供給の問題を受けて、伸び悩んだと言います。
さて、ゲーム部門についてですが、発表資料には次の8-10月期(第3四半期)も不振が続くと見られるような1文がありました。
(ゲーム部門の不振について)出荷の減少に加えて、第3四半期も続くと見られるチャレンジングな市場環境に対応するため、販売パートナーと価格調整を実施した。
エヌビディアの長期的な成長がこれで失われたとは思わないので、長期的に見れば今回の業績の低迷はむしろ株を安く買うチャンスになるという見方で良いと思います。しかし、今回の様子だと第3四半期も苦戦するとことが予想されるので、まだ買い場は訪れていないと思います。
中長期的にはアメリカの景気が復調した時期を見て、買いに行けば面白い投資になると思います。アメリカの景気の底打ちは半年後になるのか1年後になるのか分かりませんが、気長に待ちたいと思います。