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景気後退前の株価上昇はまだあると思っています。

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今から2ヶ月ほど前、「米国株の不調が続くが、まだ景気後退に向けた株の下落ではない。まだ株価が上昇する機会はあるはず」という記事を書きました。

>>2022年1月が今景気サイクルの株価のピークではないと思う理由

それから2ヶ月たち、途中ではロシアとウクライナの戦争などもあり少し状況は変わりましたが、今でも同じことが言えるのかを改めて確認していきたいと思います。

結論としては、まだ今でも米国株は景気後退前に上昇の余地があると思っています。

この記事のポイント

  • 2022年に一時期13%まで下落したが、まだ逆イールド現象(景気後退のシグナル)は発生していない。
  • 逆イールド現象が発生してから平均で18ヶ月(分散10ヶ月)は上昇が続くので、景気後退前に上昇する余地はある。
  • また、債券市場もリスク回避に本格的に動いていない。割高度を見ても、米国株に大幅下落があるようには見えない。

2022年、一時期は13%下落したが


2022年になってから、特にウクライナ戦争が始まってから急にアメリカや世界では景気後退という言葉が囁かれるようになりました。

米国株は2022年1月につけた最高値から、既に一時期13%下落する場面がありました。

今のところは少し株価は持ち直して下落幅を縮めていますが、万が一景気後退に向かって下落がもう始まってしまっているなら、これから数年かけて30-40%下げることもありえます。

しかし、冷静になって状況を見てみると、まだ景気悪化による株価の大きな下落は始まっていないと私は考えてます。

そう考える理由となるデータをこれからいくつか見ていきます。

景気後退の前兆「逆イールド現象」はまだ発生していない


まず、このブログでも毎週のように取り上げている景気後退のシグナル「逆イールド現象」についてです。

10年国債利回りから2年国債利回りを引いた値がマイナスになってから、数ヶ月から数十ヶ月すると確実にアメリカは景気後退担っているのですが、この現象はまだ発生していません。


出典:FRED

過去6回の景気後退では、逆イールド現象が発生してから平均18ヶ月後(分散10ヶ月)にS&P500はピークをつけて大きな下落に転じています。

なので、逆イールド現象が発生していない今から景気後退に向けて株価が下がっていると考えるのは早すぎる気がします。

年始から言っているように、もう一度S&P500が1月の最高値まで株価が戻っても不思議ではないと思っています。

>>不況の前兆「逆イールド現象」と米国株のピークついて

ジャンク債の投資家について


投資家の中で、債権投資家は景気後退に敏感に反応することで有名です。

もう少し具体的に言うと、景気が悪化するときには信用が低い企業の債権(ハイイールド債)が国債に比べて大きく売られる動きが見られるのですが、この動きはまだそこまで大きくないように思います。

次のグラフは、国債に比べてハイイールド債が売られたときに大きく上昇するものなのですが、最近は少し上昇しているものの、その上昇幅はまだそれほど大きくありません。


出典:FRED

債券市場の動きを見ても、まだ景気後退のリスク回避が本格的に始まった気はしていません。

株はまだ長期国債に比べて割安


最後に米国株の割高度についても見ていきたいと思います。

割高かどうかを見るPERという数字をみても、過去5年平均にまで下がっていて特に割高とは思いません。

また、近年の米国株は「金融緩和で買われすぎた国債に比べたら株はまだ割安」という考えで買われてきましたが、この状況は薄れたもののまだ続いているように思います。

次のグラフ(超過CAPE利回り)は、国債に比べて米国株が割高なら下になるのですが、2018年の金融引き締めで株価が大きく崩れた頃に比べると、今の米国株はいくらか割安です。

以上をまとめると、アメリカは確かに多くの投資家やメディアが言うように景気後退が少しずつ近づいていることは確かですが、1-2ヶ月後といったような今すぐ差し迫ったものではないようです。

また、景気後退を受けた米国株の本格的下げにもまだ入っていない可能性があり、景気後退前に最後のひと上げとなる株価上昇の余地が残されているのではないかと思っています。


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