少し前ですがマイクロソフトの2021年1-3月期の決算発表がありました。
発表直後に株価が一時期4%ほど下げる場面がありましたが、売られるような悪い内容には見えませんでした。
何か重要な点を見落としている恐れもありますが、「もともと期待が高く割高だったので、決算後に売られたのかな」くらいに考えています。
今まで割高だったので少しだけでも下げる分には良いと思います。この記事では今期のマイクロソフトの決算を振り返っていきます。
この記事のポイント
- 売上も一株利益も予想を上回る出来だった。
- マイクロソフトの長期的な業績を左右するクラウド(製品名Azure)の売上も前期と変わらず、前年比+50%で拡大している。
- コロナの流行時に一時的にAzureの成長率鈍化が見られたが、その後はじわじわと成長率が改善されている。
今期も好調だったマイクロソフト
2021年1-3月期(2021年度第3四半期)のマイクロソフトは悪くなかったです。どちらかというと良かったと思います。
同じ時期のアマゾン、アップル、グーグルなどのライバル企業に比べると成長率は低いですが、売上も利益も予想を超える決算でした。
- 売上:予想410.3億ドルに対して、417.1億ドル(予想超え、前年比+19%)
- 一株利益:予想1.78ドルに対して、1.95ドル(予想超え、前年比+39%)
単位B:10億ドル | 21Q1 | 前年比 |
---|---|---|
収益 | $41.7B | +19% |
営業利益 | $17.0B | +31% |
調整後一株利益 | $2.0 | +39% |
近年のマイクロソフトは毎回のように決算は予想を超えて安定しています。
前期と比較してみると、今期は売上も利益も成長率が加速しているのも好印象でした。
部門別売上
今期はマイクロソフトは、前期に引き続きクラウドがそこそこ好調で、さらに前年は低迷していたコンシューマ向け(大衆向け)製品が復調が見られました。
これからマイクロソフトの部門別の売上を確認していきますが、マイクロソフトは部門名からどんな製品を売っているのかわかりにくいので部門名を振り返っておきます。
部門説明
- プロダクティビティ&ビジネスプロセス部門:Word・Excel・PowerpointなどのOfficeソフト、CRM(顧客管理)製品のDynamics、LinkedInを提供する部門。主にビジネス向けのソフトを扱う。
- インテリジェントクラウド部門:クラウドコンピューティングのAzure、Windows Server、SQL Server、GitHubなどのIT基盤製品の提供と、企業向けのコンサルティングサービスを行う部門。
- モアパーソナルコンピューティング部門:Windows OS、Surface PC、bing検索、Xboxなど大衆向けのソフトや製品を提供する部門。
今期の決算では、これらの3つの部門のうち売上規模の大きいインテリジェントクラウド部門が、前年比+23%で最も高い成長率を維持しているのは好印象でした。
単位B:10億ドル | 21Q1 | 構成比 | 成長率 |
---|---|---|---|
プロダクティビティ&ビジネスプロセス部門 | $13.6B | 32% | +15% |
インテリジェントクラウド部門 | $15.1B | 36% | +23% |
モアパーソナルコンピューティング部門 | $13.0B | 31% | +19% |
合計 | $41.7B | 100% | +19% |
思い返してみると、アメリカで新型コロナウイルスが大流行した2020年4-6月期(マイクロソフトの20年第4四半期)にクラウド(Azure)成長率が鈍化したのですが、その成長率もじわじわと回復している点も悪く有りません。
また、下記グラフを見てみると前年同期は低成長で苦しんでいたモアパーソナルコンピューティング部門の成長率が回復しているのも印象的です。
まとめ
この記事では2021年1-3月期のマイクロソフトの決算を見ていきました。
決算発表後に株価は落ちてしまいましたが、今までの期待が高かっただけで、決算の内容は悪くなかったと思います。
他の大手IT企業に比べると成長率は低いですが、前期のマイクロソフトの決算の数字よりも売上も利益も成長率が加速してる点はとても良かったと思っています。
決算資料でナデラCEOも言っていたように、パンデミックから1年経っても世の中のIT活用の流れはスローダウンしているわけではありません。パンデミック直後こそ企業のコスト意識が高まってAzureの売上成長率は落ちましたが、少しずつそれも改善されつつあります。
次の十年はクラウドの活用がさらに本格化すると思われますが、クラウドシェアで1位・2位のアマゾンとマイクロソフトは長期的に恩恵が受けられるはずです。
長期的に魅力があるのは多くの投資家が分かっているので、あとはどの価格でマイクロソフト株を買うかです。
今はまだ割高で買うタイミングが来ていないと思っていますが、待っていればその時期がどこかでやってくると思っているので、あせらずじっと待ちたいと思います。
「待つことができる」、それだけで平均以上の投資家に。
もともと人間は本来待つことが得意ではないようです。欲しい株があっても買っても良い株価に下がるまで待てる投資家や、保有してからも株価が上昇するまで待てる投資家は、それだけで平均的な投資家を上回ることができる素質があります。この記事では、「待つ」ことについて書いていきます。