しっかり予想を上回る無難な決算
Microsoftが2019年6-9月期(2020年1Q)を発表しました。結果は、利益も収益も事前のアナリスト予想を上回って、良い内容でした。
- 一株利益:1.25ドルの予想を上回る1.38ドル
- 収益:322.3億ドルの予想を上回る330.6億ドル(前年比+14%)
- クラウドAzure売上成長率:64%の予想を下回る59%成長(前期は+64%)
注目のAzureクラウドの売上成長率は予想の64%成長に届きませんでしたが、シェアを伸ばせば成長率が鈍化するのはAmazonのクラウドAWSを見ていても見られる傾向なので、これは仕方のないことです。
一方で、収益は2019年3Qの決算報告でIT企業全体の収益増加率がわずか+0.3%に低迷するとアナリストが予想している中、マイクロソフトは予想を上回って+14%しており、不安を払拭しています。
2019年3Q、S&P500全体の利益は前年比マイナス4.6%予想。
おそらく、IT企業でも「順調に収益上げる企業」と「低迷する企業」が別れた上で、全体として+0.3%の伸びにとどまると予想しているはずですが、マイクロソフトは順調に「収益を上げる企業」の中でも、かなり底堅く売上を伸ばしているように見えます。
マイクロソフト株の魅力は売上げ増加と株主還元のバランス
ちなみに、成長株を求めて米国株を投資している人からすると「あれ、マイクロソフトって勢いがあるけどたった14%の売上成長率なの?」と思われるかもしれません。
はい、マイクロソフトは近年安定して株のリターンを上げていますが、Facebookや小型IT株などのように30%を超えるような売上成長率で株価を牽引している企業ではありません。
近年の売上成長を見ても、会社全体として目覚ましい成長率を遂げているわけではありません。
高い売上成長率はないのですが、マイクロソフトの魅力はそこそこに底堅く売上が成長し、IT企業でありながら着実に配当と自社株買いで株主に利益を還元するバランスが良い安定性にあると思います。
売上は時代の波であるクラウドコンピュータの流れにのり、なおかつWord/Excel/PowerPointと言ったずっと使われる安定した収益基盤を持っていることので、IT企業なのにかなり底堅い経営をしています。なので、高成長と株価急騰をもとめる投資家よりも、じっくり安定的に株で利益を得たい投資家にとって魅力的で人気の銘柄になっています。
以下は、シナジー・リサーチ・グループによる2019年2Qまでクラウド・コンピューティング・サービスの市場の拡大を様子と、シェアを表していますが、マイクロソフトが勝負している市場はちゃんち右肩上がりになっていることがわかります。
こうして得た売上の一部でしっかりと自社株買いもするので、毎年売上以上に一株利益を増やすことができ、株価上昇につながっている好循環も好感が持てます。
私もこの銘柄は長い間持っていて損はしない銘柄だと思いますし、今後アメリカの景気減速不安が消えたら(もしくは景気後退して株価が下落したら)買おうと思っています。
マイクロソフトの部門の説明
ここからはマイクロソフトの部門ごとに、好調不調を見ていきたいと思います。
- プロダクティビティ&ビジネスプロセス部門:Word・Excel・PowerpointなどのOfficeソフト、CRM(顧客管理)製品のDynamics、LinkedInを提供する部門。主にソフトウェアを扱う。
- インテリジェントクラウド部門:クラウドコンピューティングのAzure、Windows Server、SQL Server、GitHubなどの製品の提供と、企業向けのコンサルティングサービスを行う部門。
- モアパーソナルコンピューティング部門:Windows OS、Surface PC、bing検索、Xboxを提供する部門。
部門 | 売上 | 成長率 |
---|---|---|
プロダクティビティ&ビジネスプロセス部門 | 111億ドル | +13% |
インテリジェントクラウド部門 | 108億ドル | +27% |
モアパーソナルコンピューティング部門 | 111億ドル | +4% |
合計 | 331億ドル | +14% |
ここでもやはり目立ったのは、クラウドサービスAzureを抱えるインテリジェントクラウド部門でした。前年比売上成長率は+27%で、マイクロソフトの売上成長を引っ張っていっています。
このクラウドの成長はマイクロソフトが市場シェアを伸ばすにつれて、次第に緩やかになっていく傾向があると見られています。直近の四半期をみても、その傾向がはっきりしているので、これからは数年かけて緩やかな成長に変わっていく可能性があります。
会計年度 | Azure前年比成長率 |
---|---|
FY19Q1 | 76% |
FY19Q2 | 76% |
FY19Q3 | 73% |
FY19Q4 | 64% |
FY20Q1 | 59% |