5月10日米中貿易の閣僚級会談は合意なく終えましたが、ダウは+0.44%上昇して終えるなど、市場の心理状態は落ち着いたように思えます。
米中の両代表とも会談については好感触だったとコメントしており、ワーストケースとしての想定もあった交渉決裂からの市場急落のシナリオは免れた形です。ただ、油断は禁物です。
トランプ大統領からは協議が進展すれば、関税を撤廃させる可能性があることも表明しつつも、既に次の措置として新たに3250億ドル相当の中国製品に追加関税を発動する手続きを進めています。
5月10日までは交渉内容によっては市場が急落するハードランディングがリスクとしてありましたが、今は交渉が長引くほどに米中双方の経済にダメージを追う状況に変わりつつあります。
1日中、様々なメディアから情報が次々と上がってきている状況で、起きたての土曜日の朝の頭では整理が追いつかない私のような方もいらっしゃると思いますので、5月10日の動きを以下にまとめました。
お役立て下さい。
5月10日の協議まとめ
- 当初の米中貿易合意形成日の5月10日は、合意なく協議終了。
- しかし、会談に望んだ米ムニューシン財務省長官「建設的だった」、中Liu副首相「極めて良好」と両代表は好感触を強調。
- トランプ「この2日間の協議で、米中は貿易関係を巡り率直かつ建設的な対話を持った」とコメントを表明。
今後の協議について
- 中国共産党系メディアが「北京で協議を再開させることで双方が合意した」と報道も、ムニューシン財務省長官は現時点で今後の対中通商協議の予定は何ら決定していないと否定。
- しかし、トランプ大統領は協議を継続する意志はあるとした上で「今後の協議の進展次第で、対中関税は撤廃か維持されることになる」と語った。
今後の米中の動きは?
- トランプ大統領は新たに3250億ドル相当の中国製品に追加関税を発動する手続きを始めたことを明かす。
- パーデュー米農務長官は同日、中国貿易摩擦による米農業への影響に対処するため、農家支援策を策定をトランプ米大統領から指示される。
- (米国による25%関税引き上げ受けて、5月10日の会談前から中国商務省は「非常に遺憾だ」と表明。対抗措置を講じる考えを示している。)
市場へのリスクは?
- 5月10日NY市場は落ち着きを取り戻す。ダウ平均は+0.44%高。
- フランスのルメール経済・財務相は、米中貿易戦争の激化が「世界経済にとって最大の脅威」との認識を示す。
- エコノミストや業界コンサルタントによると、米国の消費者が関税引き上げの影響を感じるには3-4カ月かかるとのこと。小売り業者は輸入コストの増加を受けて、値上げを迫られ、米家計を圧迫する。
- Oxford Economicsのエコノミストによると、中国が報復の関税を発動した場合、2020年までに米1人世帯あたり$800ドル(88,000円)の負担を強いられる。