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モルガンスタンレー、19年夏の利下げ実施でも景気後退は不可避か。

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直近の市場は2019年内に7月、9月、12月の年3回の政策金利の利下げを期待しており、来月7月にも景気下支えのための利下げを行う可能性があります。

参考記事:「米政策金利引き下げ、早期に必要になるかも知れない」セントルイス連銀が発言

参考記事:FRBパウエル議長「米中央銀行は経済拡大のために適切に対処する」

しかし、モルガン・スタンレーは2019年の夏に中央銀行のFRBが利下げを実施したとしても、景気後退や不況は避けれられない可能性があるとの見方を示しました。合わせて、モルガン・スタンレーによる世界経済の成長見通しも「継続的な回復」ではなく、「停滞」に変更しています。

この見方は、先日閉幕したG20財務長官・中央銀行総裁会議での声明とは、一線を画す内容です。IMFの声明では、2019年の世界経済状況について「成長加速の見通しを示している」との認識を示していました。

G20金融トップ会議の声明文への違和感。19年後半から景気は回復するのか。

でもモルガン・スタンレーが言っていることのほうが、多くの投資家の肌感覚とあうのではないでしょうか。

欧米の中央銀行は必要であれば金利引き下げも辞さないと宣言し、インドでは既に3連続で政策金利を引き下げ、中国が国内向けの景気対策で景気の下支え続けています。これは大国に限った話ではなく、韓国ではウォン安が危険な水準に近づいており、オーストラリアも政策金利引き下げているなど、悲観的な話題に事欠かない世界経済です。

IMFのいう世界経済の成長が加速するという楽観論よりも、モルガン・スタンレーの悲観論のほうが断然しっくりきます。

景気後退入りの根拠は雇用・インフレ率・貿易戦争

モルガン・スタンレーが気にしているのは、「弱い雇用データ」「低いインフレ率」「加熱する貿易戦争」です。このようなアメリカ景気全体が抱えているマクロな問題が、FRBが19年夏に利下げを行っても解消されないほどに進行している恐れがあると警戒をしています。

モルガン・スタンレーのストラテジスト、マイケル・ウィルソン氏は「FRBは早々7月にも利下げを実施するだろうが、景気減速や景気後退を止めることはできないかも知れない」と述べています。

雇用や賃金上昇率が力強ければインフレは加速するので、「弱い雇用データ」と「低いインフレ率」がかなり親しいことを言っている気もしますが、たしかにインフレ率については私も気がかりな点があります。

下の図は、食品やエネルギーなどの物価変動の大きなものを除いた米国の消費者物価のコア指数(CPIコア)を示していますが、2018年夏をピークにインフレ率は減少傾向にあります。

低迷するインフレ率の原因と対策の立て方は、FRBも頭を悩ませていることだと思います。ただ、モルガン・スタンレーはこの背景にあるのは、景気の循環で景気がピークアウトしている兆候と見ています。

加熱する貿易戦争による景気減速懸念

また、こちらも本当に困ったことなのですが、米中貿易戦争は解決の見通しがまだまだ立っていません。

米国とメキシコの移民問題こそ、6月10日からのメキシコからの全輸入品に関税がかかる事態は回避できたものの、米中の貿易を巡る火花は今もなお、バチバチと音を立てている状態です。

6月G20首脳会議での米中合意できずに、7月利下げの展開か。

成長株への投資を警戒

ウィルソン氏によると、割高な成長株を避けて守りに入った投資をするように投資家に促しています。

この意見には賛成です。アメリカ経済全体がリスクにさらされているため、予想収益や利益が未達になる可能性が高く、成長をエンジンにして株価が上がっている銘柄ほど決算の未達で大きく売られる可能性があると思います。


参考記事:2020年3月にリセッション入りの可能性(モルガン・スタンレー調べ)
参考記事:【原因と結果】米中貿易戦争終結でも米国はリセッション入りするのか。


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